2010年1月22日金曜日

音色~♪


  「音色」

つめたい空気を切って
降りそそぐ冬の日ざし
全身にあびながら
青い舗道を歩いていると
手の先から少しずつ
透きとおっていく気がする

細胞のひとつひとつが
光のシャワーに洗われて
現われてくる大切なものだけを
たましいがかかえて歩く

冬の太陽に射られると
世界の本質が見えてくるらしい
街路樹の葉っぱたちは
みんな鳥の形をしている
さがしものがみつかりそうだ

テールコートを着た人が
奇妙なシルクハットを持って
向こうから歩いてきた

マジシャンかな
オーケストラの指揮の途中
抜け出してきたのかもしれない
銀色の音符がたくさん
空中を飛びまわっている

距離がどんどん近づいて
光の色が濃くなっていく
真っ白いウィンドカラーが
妙にまぶしい

すれちがった瞬間
恋におちてしまう予感がする
ありえないことが起きる
冬の午後のペーブメント

私の中に眠っている
まだ聞いたことのない音楽を
奏でてみたくなる

あなたの胸の内ポケットに
かくしているそのタクトを
一度、振ってくださいませんか

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