2010年1月17日日曜日

〇<第一詩集)冬の羊歯~♪


   「冬の羊歯」

冬の両腕にくるまっていると
どこからともなく
銀色のユニコーンがあらわれて
胸の中に住みついたりする

昨日、太古の森に迷い込む夢を見た
樹林はみずみずしい息をして
一度も視線を受けたことのない
妖しい緑の地衣類におおわれていた

踏みしめると 踝まで埋もれてしまう
すこしづつ うごいていく霧は
細かな玉になって髪に止まり
見あげると 光の棒がななめに降ってくる
影のない世界
心の跡がまだ見えない

いっとき意識界から遠ざかる
眠りのなかで
人は 原初にもどっていくのだろうか

さっき 宇宙船の窓の向こうに
なつかしい球形をつくる地球を見た
繭の色した陸地がおぼろに浮かぶ

窓いっぱいに広がっていくのは
羊歯の葉群れ
大陸は巨大な羊歯の形をしていた
入りくんだ海岸線や山脈のうねりは
美しい羽状複葉のライン
まるい惑星にしがみつき
シルル紀あたりを呼んでいるのか
時折ギラッと揺れて伸びあがる

地球もまた初めの日に
帰りたがっているのかもしれない

私の小さなユニコーン
夢の羊歯をもくもく食んで
ほどよく育っていくのだろう
今夜はなぜか心が熱い

2 件のコメント:

  1. この写真のユニコーンは、ローズまりあさんが作ったものです♪たくさんのユニコーンを、紙粘土で作っておられたのですが、この子を見た瞬間に、私のところに現れるユニコーンだ~って気がついたのです・・。
    ユニコちゃんと、呼んでいます♪(*^_^*)

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  2. アダムとイブがまだエデンの園で善悪を知る知恵の木の実を食べるずっと以前の世界の話ですね。意識以前の地球、ユニコーンが羊歯を食べていたんですね。

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