2010年1月31日日曜日

駆けていく♪


  「駆けていく」

こわれかけた土塀が
朝の陽を吸いこんでいる
一瞬ごとに変化する雲の形と
照り返す光の量
土の香りが時の長さを告げる
欠けている安心感に
空間が急に広がった

隔てていたものは何だったのだろう
あの日見上げた空は
一直線に区切られてまっぷたつ
行き先が見えなくて
立ち止まってしまった

隔てていたものは
心が作りだした幻のて壁
私のおくびょうな気持ちが
土くれになって
積み重なり折り重なって
高くて丈夫な土塀をつくった

欠けていく期待感と
満ちてくる充実感に
風がどうっと吹きぬけて
私の内部から
まっさらな女の子が
飛び出して駈けてり行った

白いセーターに深緑のスカート
左手に常緑樹の小枝をにぎりしめ
踊るように走っていく

追いかけているものは
青空をくり抜いて作った
空色の風船
風に舞いながら
どこまでも飛び続ける
あこがれの心

もう何も遮るものがないので
まっすぐにあの人の心まで
駈けて行こう
陽だまりのなか
夢を見続けるために必要な
暗がりを求めながら


しかし、土塀って最近、珍しいですネ♪何かのイメージですね♪
「駈けて行く」と「欠けていく」は掛け言葉になっていますが・・。あはは・・。
全く関連のない言葉に、じつは真実が隠されてるみたいな気がして、急に思い立って書いたのです・・。ふむむ・・。実に哲学ですね♪なーんて!!(*^_^*)

2010年1月25日月曜日

あこがれ♪


  「あこがれ」

あの人は突然あらわれた
大陸の夢を身にまとい
白いスーツからあふれるほど
のびやかな風を持った
アジアの美しい青年は
照れたようなしぐさで
笑いながら手を振っていた

めぐる月や太陽といっしょに
ひとつの海を渡ってきた人よ
今、この季節のこの瞬間
私たちと同じ地平に立っている
ただそれだけのことなのに
深いまなざしに揺さぶられている

やわらかい顔のラインが
ゆっくりほどけていくたびに
あなたの内側から
見たことのない光がほとばしる
光はいくつもの波になって
輝きながら押し寄せてくる

心と呼んでいる空間の
まだ行ったことのない場所に
ひっそりとした湖があり
あなたの光の波が湖面に届くと
最初のさざ波が生まれる

さざ波はさわさわと広がって
国境をこえ、民族をこえ
無数の心とつながっていく

私たちは何を受けとったのだろう
大きな存在感にとまどいながら
名前も知らない人だったのに
ドラマの中に投げ込まれて
現実の恋人よりもっと切実に
あなたの視線に呼吸を合わせる
夢ではなく現実に
ずっと探していたのは
あなただったのかもしれない

明けきらない朝の空に
ムクゲの花が咲いて
静かな情熱を包みこんだ
あわい花びらが風にからまっている

ただよっている時間を連れて
つぎつぎに咲きそろっていく
はるかに続く連鎖反応

2010年1月22日金曜日

音色~♪


  「音色」

つめたい空気を切って
降りそそぐ冬の日ざし
全身にあびながら
青い舗道を歩いていると
手の先から少しずつ
透きとおっていく気がする

細胞のひとつひとつが
光のシャワーに洗われて
現われてくる大切なものだけを
たましいがかかえて歩く

冬の太陽に射られると
世界の本質が見えてくるらしい
街路樹の葉っぱたちは
みんな鳥の形をしている
さがしものがみつかりそうだ

テールコートを着た人が
奇妙なシルクハットを持って
向こうから歩いてきた

マジシャンかな
オーケストラの指揮の途中
抜け出してきたのかもしれない
銀色の音符がたくさん
空中を飛びまわっている

距離がどんどん近づいて
光の色が濃くなっていく
真っ白いウィンドカラーが
妙にまぶしい

すれちがった瞬間
恋におちてしまう予感がする
ありえないことが起きる
冬の午後のペーブメント

私の中に眠っている
まだ聞いたことのない音楽を
奏でてみたくなる

あなたの胸の内ポケットに
かくしているそのタクトを
一度、振ってくださいませんか

2010年1月20日水曜日

〇<第一詩集)夢の渓流


    「夢の渓流」


私は小さな水滴になって
いっしんに川をくだっていた

空を漂っていた日
ふと見下ろした大海の
めまいするような眩しさに
魅きこまれ
思いはつのるばかり
どうしても逢いたかったから
飛び降りてみたの
ほんの一瞬のことだった
私は今、水滴のひとつぶ
空の記憶を水面に伝えながら
木々の深い根もとを通り
玉砂利のすきまをくぐり
石の上をすべり

どこまでも
傾斜している
夢の渓流をたどっていく

押し流されて
命は前にすすむだけ
不安と期待がまじりあって
胸の鼓動は高まっていく

両岸に続く緑の葉群れの
狂ったような輝きに
ふうっと気が遠くなって
吸い込まれてしまった

途方もない時間を流れ
夜明けまでには 海へ
あの人の心の入口に
流れ込んでいく


☆雲の中の水蒸気は、もしかしたら海に恋をしてるのでは・・。
何だか、そういう気がしたので・・。
今日は、ちいさな水のひとしずくになって、海への旅をしてみました~♪

2010年1月17日日曜日

〇<第一詩集)冬の羊歯~♪


   「冬の羊歯」

冬の両腕にくるまっていると
どこからともなく
銀色のユニコーンがあらわれて
胸の中に住みついたりする

昨日、太古の森に迷い込む夢を見た
樹林はみずみずしい息をして
一度も視線を受けたことのない
妖しい緑の地衣類におおわれていた

踏みしめると 踝まで埋もれてしまう
すこしづつ うごいていく霧は
細かな玉になって髪に止まり
見あげると 光の棒がななめに降ってくる
影のない世界
心の跡がまだ見えない

いっとき意識界から遠ざかる
眠りのなかで
人は 原初にもどっていくのだろうか

さっき 宇宙船の窓の向こうに
なつかしい球形をつくる地球を見た
繭の色した陸地がおぼろに浮かぶ

窓いっぱいに広がっていくのは
羊歯の葉群れ
大陸は巨大な羊歯の形をしていた
入りくんだ海岸線や山脈のうねりは
美しい羽状複葉のライン
まるい惑星にしがみつき
シルル紀あたりを呼んでいるのか
時折ギラッと揺れて伸びあがる

地球もまた初めの日に
帰りたがっているのかもしれない

私の小さなユニコーン
夢の羊歯をもくもく食んで
ほどよく育っていくのだろう
今夜はなぜか心が熱い

2010年1月13日水曜日

〇’第一詩集)言葉


 今日は、すっごく寒いですね~♪寒いの大好き~と、いつも言ってるマイマイですが、この寒さには負けています♪


いくつかのイメージが浮かんできた時、それを捕まえて言葉に換えようと思うのですが、なかなか難しくって、もどかしいときもあります。そんな思いを書いてみました~♪言葉さんに向かって語りかけてる詩ですよ♪


    「言葉」


かすかな響きを追いかけて
地上のすみずみまで
探しまわっても
あなたの姿はみつからない


天の青さが極まると
はりつめた一点が溶けはじめ
空から声が降ってくる
(会いたい時には
階段を降りて行ってごらん)

どうしても会いたいと
願う心だけで
階段は目の前に出現し
みるみるうちに段数が増えていく
すとんすとんと
体ごと揺さぶられながら
今いる場所から
斜め前方に降りていく

どこまで行ったら
本当のあなたに出会えるのだろう
見えている世界から
一段ずつ遠ざかって

暗闇に吸い込まれるように
見えない領域に近づいていく
「もうすぐ
あなたにたどりつけるよ」

つらなる時間と空間の
わずかなすきまで
ひっそりと息づいている
気配だけ感じて

もどかしさにとまどいながら
ふと立ち止まる
階段の途中で
あなたの指先に
触れていることもある



2010年1月9日土曜日

●(新しい本)音魂♪


 音楽が聞こえてきたら、その音の響きから色彩が見えたり、光が現れたりすることって、ありますよね~♪昨年、和太鼓グループ「志多ら」のライブからインスピレーションを受けて作った作品です♪志多らは、2月からは、アメリカツアーが始まるそうです・・。今年は、西海岸ではなく、真中あたりかなー?アリゾナとかイリノイだったと思います・・。近くにお住まいの方、どうぞよろしくねっ!!


    「音魂」


まっ暗な闇の奥から
音が立ちのぼってきた
地面をたたく音なのか
天を駈ける音なのか
とどろくような音に合わせて
暗闇はほどけていく

いっきに明るくなった空気が
ふるえながら波になって
何度も押し寄せてくるので
わたしの心も揺れ始め
呼吸のリズムと重なっていった

太古の森からやってくるような
太鼓の響きはいさぎよく
エネルギーを飲み込んでは
大気に放出している
音魂が生きものみたいに
あたりを飛び交い走り回る

祭りばやしの太鼓をたたきながら
舞いおどる男たち女たち
神から託されたものを
無心になって伝えてくれる
巫女のように神主のように
神々しくほほ笑みあって

掛け声とともに連打の嵐
はげしく打ち鳴らす音を
全身で浴びていると
自分の中の不要なものが
どんどん消えていくのがわかる
音の波動に清められていく

からっぽになったころ
色彩が空から降ってきた
地から湧き上がってくる
色とりどりの光が渦巻いている

もう行き止まりだったのに
目の前に光の道があらわれた
どこにでも連なっている未知の道
音が光を連れてきたのだ



2010年1月6日水曜日

〇<第一詩集)冬野

 今日も、とても寒い日ですね。昼間は風が強く吹いていましたが、空がすごくきれいでした。風が吹いてるから、いっそう澄みきってくるのかな♪みつめていたら、このまま空に溶け込んでしまいそうなほど・・・・透明感のある空色でしたね~♪、昨日に続いて。今日も冬がテーマの詩ですョ~♪

    「冬野」
だれかに呼ばれている
気配がして
振り向くと
空につらなる
冬の原野

やわらかい銀の裾が
地上に触れると
心がほどけるように
目の前に広がって
永遠の方角に
のびていく

虫も人も動物も
まだ歩いていない大地です

雲を破ってそそぎこむ
ひかりに洗われて
草木は内部で熱く
萌えながら
影の素粒子たちと
ねむっている

遠ざかっていくものと
近づいてくるものが
交叉しながら
ひとつに溶け合って
ざわめきを秘めた沈黙は
いっそう深まっていく

耳をすますと
無数の呼吸音が
せりあがってきて
始まりの予感

大きく開いた空洞に
収まりきれない何かが
わたしを呼んでいる

圧倒的な冬の香りに
巻きこまれていると
出会ったことのない
すべてのことが
とてもいとしい

2010年1月5日火曜日

〇’第一詩集)冬の月夜♪

  「冬の月夜」
こちこちに凍った月の
青白くとがった光が
ひさしの上空から
さしこんでくる

空にころがっている月が
とても小さく見えたので
「さむいね」
と、声をかけてしまった
ガラス窓の向こうは
荒涼とした冬のひろがり

私もひとりぼっちで
冬の荒野をさまよっているのよ

机の上の地球儀は
いつも北極にうっすらと
ほこりを乗せて
すこし傾いている
まわしてみたら
地球儀はどんどんスピードをあげて
回転し始めた
(飛び散っていく輪郭)

ひとさし指で押さえると
経線と緯線のからみあった
海のまんなかに
落ちてしまった
つめたい海水に浸って
指先から凍えていく
(もどれるだろうか)

じゅうたんにすわって
ストーブに点火すると
反射鏡に赤い炎が咲き
にぎりしめていた硬い空気が
溶けていく

やわらかくなった月は
闇をふりほどいて
窓から遠ざかる

孤独とか切なさなんて
どこまで行っても
どこまで逃げても冬の胎内

見えない宇宙軸が
ときどき揺れるのは
こわれそうな心を
あたためながら
誰かが今も
地球を回しているのね

ほんの気まぐれに

2010年1月3日日曜日

〇’第一詩集)天啓~♪

 今朝は、昨夜の満月の光がまだ残っていて、朝日と混ざり合ってキラキラッ~と輝いているような朝でした。寒いけど、さわやかな冬の朝ですね~♪
なぜか、この詩が思い浮かんできたので書いておきます・・。

    「天啓」

雨上がりの庭に
まっ白いゾウが立っていた
ぬれた草を踏んで
清らかにそびえていた
(インドの祭りを抜け出して来たんだな)
ゾウの背中には
ひろびろとした青空が乗っていたが
ゾウが青空を包み込むほど大きかった

グレイの作業服の人が
けむりのようにあらわれて
にぶく光るちりとりを
右手に持ち替えながら
ゾウの中をご案内しましょう
と言った
東の空には、ホーキの跡が残っていた

しずかなゾウの目の奥で
朝の日光がはじけ
私はその中に吸いこまれていった

ゾウの体内はがらんどうで
ひなたのにおい
目をとじると
草穂が波になって
どこまでも広がっているのが見える
生まれる前から住んでいた
なつかしい場所だった

ゾウのとなりでは
もう一頭のゾウの影がゆれ
見えない存在の深さを感じながら
私はゾウにすっぽりくるまっている

いく日も
ゾウの内側にもたれて
おだやかな脈動を
全身で聞いていると
いつのまにかねむりこんでしまった

ねむりの向こうで
祭り日がつづいている

2010年1月2日土曜日

現代詩のページ


 今日から、現代詩のブログを始めることになりました~♪(笑)
一年の始まりの日なので、ちょうどいいかなー!!
ブログと言っても、今まで作った詩や作ったばかりの詩をとりまぜて、思いつくままに掲載してみようと思っています♪
どうぞお付き合いくださいね~♪
(絵は、パウル・クレーの作品など・・を使わせていただいています♪勝手にコラボさせていただいて申し訳ないですが・・。ちょっと貸してクレー! 
もし、絵画や造形作品など、ご参加いただける人がいらっしゃいましたら、お知らせくださいね♪待っています~♪)