2018年4月5日木曜日

呼吸する風景

      「気球する風景」

世界のどこかで
艶のある闇色のタマゴから
ふわっと飛び出す朝の色
生まれたての光は
眩しいエネルギーの源
膨大な量に増殖して
何億もの窓に
押し寄せてくるから
ガラス窓は膨張して
大きくしなり
部屋の中まで風景が
なだれこんでくる

私は静かに受け止めて
ゆっくりと元の場所にもどす
山の位置 空の位置 自分の位置
カチッとはまった時
無音だった風景が
新しい今日の音楽を
奏で始める
まっすぐに伸びる視線
遮るものが何もない空間
効いたことのない旋律が
響き渡り
体内にこだまする

今日はどこまで行けるだろう
目的地を決めない旅人のように
いつもどこかに向かっている
出来る限り遠くまで行って
風景の呼吸を感じながら
まだだれも見たことのないものと
出会いたい
図ることのできない距離と時間
余白が多いほど可能性が大きい

弾きたてのコーヒーに
熱い湯を注ぐと
ふくらんでくる褐色の大地
コーヒーの香りで
外と内の境界がとけていく
世界のこの場所から
朝が始まる


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