2018年4月12日木曜日

空と雲の絶妙なバランス

      「空と雲の絶妙なバランス」

うすぐもりの空を見ていると
ねむくなってくる
グレーの空気のかたまりが
とろんと覆いかぶさってきた
現実のジグザグ模様や
こんがらがった渦巻きも
ぼんやりなだらかになる

閉じ忘れた心の窓から
雲のはしが入り込んで
心の中と外が
つながっていく

空が雲を抱きしめるたび
雲がどんどんふくらんで
雲はずっしり重くなる
雲の輪郭は心の形のように
どこまでもとりとめがない

今にも雨が降り出しそうな
今にも晴れ渡りそうな
どちらにもならない
空と雲の絶妙なバランス

ねぇ 目をさまして
自分で雲を突き抜けてみようか
ふーとゆっくり吐き出して
わきあがる青空を吸い込み
こぼれかけた雨を飲みこんで

つるっとした風の背中
すべすべの水の足音
すらりとした土の頬
がさがさの樹木の肩
さくさくした屋根の額
ふっくらした花の手のひら

ひとつひとつのものたちに
手で直に触れてみる
触れた瞬間,体に響く

あの不思議な実感
とがった形はとがったままに
まるい形はまるいままに
すべてのものを素手でつかみたい
芽を開けて見続ける夢の途上で




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