2017年12月19日火曜日

  「泰子さんの声の魔法」

長谷川泰子さんの新しいCD[気がつくと」を聞いていると, 泰子さんの清らかで柔らかい声に包まれているような気分になります 不思議なパワーのある歌です CD全体がひとつのストーリーのような構成になっているので、聞き終わったら、真新しい、世界へ入っていけるような気がします

 「恋するボールペン」紙の上を滑っていくボールペンの様子をスケーターと重ねて表現している楽しい作品です 声の向こうに広がりのある明るい風景が見えてきます 踊るような曲調と, のびやかな歌声で本当に氷の上を疾走しているような気分になります 聞いているうちに心が弾んでくる歌です

  「音魂」この曲は、一つ前の「混沌」という曲とつながっているような気がします 「混沌」はヴォカリーズの曲ですが、地球が誕生する前の広大な宇宙空間を感じます
かすかに揺らぎながら、漂っています

 「音魂」の歌が始まると、地球が生まれた時の様子をイメージしてしまいます 何もない状態から小さな光が生まれ、その光がどんどん広がって,,.....あふれていく感じが、楽器と歌声で見事に表現されていると思います 美しい声で歌う人は、やはり、女神のような存在だと思ってしまいます 原初の女神が浮遊しながら大地や空を作っているようです スケールが大きいですね 泰子さんの声の魔法にかけられてしまいます

2017年10月15日日曜日

北風とブランコ

冬の公園
ブランコひとつ
通りすがりの
北風乗って
揺らしてみせる

私も乗せて
いっしょに揺れる
大きくこぐと
空が近づき
もう雲の中

思ったとたん
地面が近い
いったりきたり
ブランコ揺れると
世界が揺れる

2017年9月9日土曜日

●新しい本 )流星

            「流星」

天の河が山の峰に
なだれ落ちてくる
その川面をかすめながら
流星ひとつ走り抜けた

無数の願いごとを
一身に受けて
星の光は一筋の矢になり
地上に届く前に
私の胸に突き刺さる

黒くうずくまる山々は
原始から同じ場所に立ち
宇宙の影のように
いっそう闇色が深くなる

流星が切り裂いた天空は
少しめくれかけて
向こうの銀河系も
透けて見えてくる

夜空の明るさは果てしなく
どこまでも広い
空に心を投げ出していると
心の量もふくらんで
無限大に伸びていく

この世界の配置は
すでに決まっていたのだろうか
どこかがユラッと揺れたら
たくさんの奇跡が起きる

流星ひとつ抱えたまま
私はまだ、星々との運命的な
出逢いの瞬間を
待ち続ける

朝になったら
夢の出口から
新しい星の花が咲き
待ち焦がれていた
一通の通信が
届く


2017年9月2日土曜日

(新しい本)流星

天の川が山の峰に
なだれ落ちてくると
その川面をかすめながら
流星ひとつ走り抜けた

無数の願いごとを
一身に受けて
星の光は濃縮されて
地上に届く前に
光の鳥になって
飛び散っていく

黒く沈む山々は
心の影のように
いっそう闇色が深くなる
原始からずっと同じ形のまま
だったのだろうか

流星が切り裂いた空は
少しめくれかけて
向こうの銀河も
透けて見える

天空の明るさは果てしなく
どこまでも広がっていく
空に心を投げ出していると
心の容量がふくらんで
無限大に伸びていく

この世界の配置は
すでに決まっていたのだろうか
どこかがふわりと揺らぎ始め
たくさんの奇跡が起きる

星の光を浴びながら
私は運命的な出会いの瞬間を
待ち続ける
朝になったら
空と同じ色の花が咲き
静かに回り始めるだろう







2017年7月9日日曜日

スイカの惑星



緑の大地に
黒いイナズマ
夏の光を
浴びながら
どんどんふくらむ
スイカの惑星

太陽ひとつ
飲み込むと
真っ赤に燃えて
甘くなる
僕らの夏の
あこがれ時間

切った瞬間
音がして
弾けていくよ
飛び散る香り
スイカの惑星
いただきます


2017年6月11日日曜日

ここで待ってる

          「ここで待ってる」

何かが呼んでる
かけ出して行こう
風の道かきわけ
どんどんすすむ

緑が呼んでる
飛び跳ねてみよう
空のドアひらくと
あたらしい夢

みんなが待ってる
キラキラひろば
笑い声ひびいて
どこまで行くの

2017年6月5日月曜日

夏のときめき

          〈夏のときめき」

お日さまのひかり
とうめいなパワー
みつめられると
どきどきするわ
トマトは赤くなっていく

トマトの気持ちは
ふくらみつづけ
あつい思いが
はちきれそうで
空に向かって飛んでみる

風のうたごえ
雲のブランコ
夏はきらめく

2017年6月3日土曜日

空飛ぶトマト

         「空飛ぶトマト」


お日さまのひかり
とうめいなパワー
ぐんぐん吸って
トマトは大きくなっていく

夏のお日さまに
みつめられて
ときめくこころ
トマトは真っ赤になっていく

トマトの気持ち
ふくらみ続け
はちきれるころ
空に向かって飛んでいく

 (風のブランコ 雨のうたごえ)

2017年5月31日水曜日

雪ウサギ

「 雪ウサギ」

 とても寒い朝です。寒がりやのミユがやっと起きて、カーテンをあけると、外はまっ白でした。夜のあいだに雪が降りつもっていたのです。庭の木や草も、うっすら雪をかぶっていました。とおくの山も何もかもがまっ白でキラキラひかっています。
「わーい 雪だ 雪だ!」
 ミユは、うれしくてたまりません。おかあさんが朝ごはんを作っているあいだに、もう外に飛び出していました。雪が降りおわったあとのとてもきれいな青空です。
「おーい ミユ こっちだよ」
 となりのユウくんが、いきなり雪の玉を投げてきました。雪の玉はミユの肩にあたってくだけまし
 た。  
「キャー ユウくんったら」
 ミユも雪をあつめて雪玉を作って、ユウくんに投げつけました。しばらく雪合戦がつづいて、二人とも雪まみれです。おたがいの顔を見ながら大わらいしました。
「はやく学校に行きなさいよ」
 ユウくんのお母さんの声がして、ユウくんは「じゃあな」と言って家に帰りました。
 ミユは、きれいな雪をあつめて、小さな雪ウサギを作ってみました。そばにあったナンテンの実で目をつくり、葉っぱが耳になりました。とてもかわいい雪ウサギができあがりました。玄関の前の台の上に、そっと乗せてみました。それから学校に出かけて行きました。

    さて、しいんとしずまりかえった雪の朝、通りにはだれもいません。白い道がどこまでもつづ          
  いています。ミユが作った雪ウサギは、お日さまの光がまぶしくて、目をさましたのです。
  「なんだかわくわくするわ」
  雪ウサギは、思いきってピョンと飛びはねてみました。台からころがり落ちましたが、ふわふわし
  た雪の上でした。ピョンピョンとびあがってみました            
  雪ウサギは、たのしくなってしまいました。
  「ちょっと走ってみようかな」
  手足をぐーんとのばしてから、いっきに走りだしていました。まっ白い雪の道を、ピョンピョンかけ
  ていきました。雪のつもった木々や屋根、どこまでもつづく雪の道……  
  何もかもがユキウサギにとって、はじめて見るものばかりです。あちこちに子どもたちの作った
  雪だるまや雪ウサギが見えたので     
  「こんにちは」とあいさつしながら走りました。
  しばらくすると野原に出ました。ちょうどそのとき、ビューンとつむじ風が吹いて、ユキウサギは
  大空に舞いあがったのです。
  「あれ~!!」
  くるくるまわった次のしゅんかん、今度は、下に落ちていきました。ペラペラしたものの上に落ち
  たのですが、少しやぶれてしまい、きれいな緑色の葉っぱが目の前にあったのです。      
  雪ウサギは、なぜかドキドキしました。
  「ちょっと食べてみようかな」
  思いきって緑色の葉っぱをかじってみました。
   「おいしいっ!!」
  雪ウサギは、こんなにおいしいものを食べたのは初めてだったのです。むちゅうになって何枚も
  食べてしまいました。体の中がどんどんさわやかになりました。
   「元気が出てきたわ、はやく帰らなくっちゃ」
  まだ目がまわっていたので、どっちに向かったらいいのかよくわからなかったのですが、スズメ
  たちが「こっちよ」「こっち」とおしえてくれました。  
  雪ウサギは、雪の道をいっしょうけんめいに走りました。そして、ミユの家にたどりつくことができ
  ました。玄関の台の上に、ピョーンと飛びのったのです
   
 近くにいた雪だるまたちが「おかえり」と言ってくれました。
しばらくすると、子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきました。ミユたちが学校から帰ってきたのです。ミユはまっさきに雪ウサギのところにかけよって、
「わぁ、良かった、まだとけてなかったわ」
 とよろこびました。
 雪ウサギは、ほんの少し体の中がすきとおっていました。
いっしょに見ていたユウくんが、
「あれ、この雪ウサギの口のところ、緑色になってるぞ」
 ほんとうに雪ウサギの口のまわりは、きれいな緑色になっていました。
それに、背中には、葉っぱのかけらがくっついていたのです。
「これは、レタスかもしれないわ」
「わー! 雪ウサギがレタスを食ったんだ」
 ユウくんは、はしゃいでいます。
 でも、この近所にはレタス畑はなかったのです。となりのとなりの町には、ビニールハウスがあるので、「もしかしたら」とミユは思ったのですが……だまっていました。もちろん雪ウサギもだまったままです。

 雪の日は、いつもとちょっとちがった風景の中、いつもとちょっとちがうこともおきるのかもしれません。

2017年5月16日火曜日

2017年5月20日土曜日

雪うさぎ

                  「 雪うさぎ」

とても寒い朝です。ミユがやっと起きて、カーテンをあけると、外はまっ白でした。夜のあいだに雪がふりつもっていたのです。庭の木や草も、うっすら雪をかぶっていました。とおくの山も何もかもがまっ白でキラキラひかっています。
「わーい 雪だ 雪だ!」
 ミユは、うれしくてたまりません。おかあさんが朝ごはんを作っているあいだに、もう外に飛び出していました。雪がふりおわったあとのきれいな青空です。
「おーい ミユ こっちだよ」
 となりのユウくんが、いきなり雪の玉を投げてきました。雪の玉はミユの肩にあたってくだけました。
「キャー ユウくんったら」
 ミユも雪をあつめて雪玉を作って、ユウくんに投げつけました。しばらく雪がっせんがつづいて、二人とも雪まみれです。おたがいの顔をみながら大わらいしました。
「はやく学校に行きなさいよ」
 ユウくんのお母さんの声がして、ユウくんは「じゃあな」と言って家に帰りました。
 ミユは、きれいな雪をあつめて、小さなユキウサギを作ってみました。そばにあったナンテンの実で目をつくり、葉っぱが耳になりました。とてもかわいいユキウサギができあがりました。玄関の前の台の上に、そっと乗せておきました。それから学校に出かけて行きましたる。・
 さて、しいんとしずまりかえった雪の朝、通りにはだれもいません。白い道がどこまでもつづいています。ミユが作ったユキウサギは、お日さまの光がまぶしくて、目をさましたのです。
「なんだかわくわくするわ」
 ユキウサギは、思いきってピョンと飛びはねてみました。台からころがり落ちましたが、ふわふわした雪の上でした。ピョンピョンとびあがってみました。ユキウサギは、たのしくなってしまいました。
「ちょっと走ってみようかな」
 手足をぐーんとのばしてから、いっきに走りだしていました。まっ白い雪の道を、ピョンピョンかけていきました。雪のつもった木々や屋根、どこまでもつづく雪の道……何もかもがユキウサギにとって、はじめて見るものばかりです。あちこちに子どもたちの作った雪だるまやユキウサギが見えたので、「こんにちは」とあいさつしながら走りました。
 しばらくすると野原に出ました。ちょうどそのとき、ビューンとつむじ風が吹いて、ユキウサギは大空に舞いあがったのです。
「あれ~!!」
 くるくるまわった次のしゅんかん、今度は、下に落ちていきました。ペラペラしたものの上に落ちたのですが、少しやぶれてしまい、きれいな緑色の葉っぱが目の前にあったのです。ユキウサギは、なぜかドキドキしました。「ちょっと食べてみようかな」
 思いきって緑色の葉っぱをかじってみました。
「おいしいっ!!」
 ユキウサギは、こんなにおいしいものを食べたのは初めてだったのです。むちゅうになって何枚も食べてしまいました。体の中がどんどんさわやかになりました。
「元気が出てきたわ、はやく帰らなくっちゃ」
 まだ目がまわっていたので、どっちに向かったらいいのかよくわからなかったのですが、スズメたちが「こっちよ」「こっち」とおしえてくれました。
 ユキウサギは、雪の道をいっしょうけんめいに走りました。そして、ミユの家にたどりつくことができました。玄関の台の上に、ピョーンと飛びのったのです。近くにいた雪だるまたちが「おかえり」と言ってくれました。
しばらくすると、子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきました。ミユたちが学校から帰ってきたのです。ミユはまっさきにユキウサギのところにかけよって、
「わぁ、良かった、まだとけてなかったわ」
 とよろこびました。
 ユキウサギは、ほんの少し体の中がすきとおっていましたが、とてもかわいかったです。
いっしょに見ていたユウくんが、
「あれ、このユキウサギの口のとこ、緑色になってるぞ」
 ほんとうにユキウサギの口のまわりは、きれいな緑色になっていたし、背中には、葉っぱのかけらがくっついていたのです。
「これは、レタスかもしれないわ」
「わー! ユキウサギがレタスを食ったんだ」
 ユウくんは、はしゃいでいます。
 でも、この近所にはレタス畑はなかったのです。となりのとなりの町には、ビニールハウスがあるので、「もしかしたら」とミユは思ったのですが……だまっていました。もちろんユキウサギもだまったままです。
 雪の日は、いつもとちょっとちがった風景の中、いつもとちょっとちがうこともおきるのかもしれません。

2017年5月16日火曜日

光の方向へ

       「光の方向へ」


ギザギザの光を放つ球体が
地球の稜線に向かって
ころがり始めると
空いちめんに
淡い紅色の花が咲く

空の花が 満開になって
散らばったかと思うと
雲にからまったり はなれたり
変幻自在に動きながら
時空をいっきに超えていく瞬間

私はすぐにあの場所まで
飛んでいくよ

ガラス窓はどこまでも透明で
私の心は透けて見られているので
なにもかもが見抜かれてしまう

6階の西病棟の夕焼け時間
それぞれの痛みや不安をかかえた人々の思いで
窓ははちきれそうになっている
みんないっせいに
心を放出するんだね

私は夕陽といっしょに
くだけ散りながら
山の向こうの国々を旅したり
迷ったりして

明日になったらま新しい光を
身にまとって
きっとこの地点に帰ってくる
一日で再生するよ
新緑の朝を連れて戻ってくる

窓は垂直に立ったまま
すべての光を受け止めて
すべての思いを見つめながら
内と外をつなぎ
大きく深呼吸している