2017年9月2日土曜日

(新しい本)流星

天の川が山の峰に
なだれ落ちてくると
その川面をかすめながら
流星ひとつ走り抜けた

無数の願いごとを
一身に受けて
星の光は濃縮されて
地上に届く前に
光の鳥になって
飛び散っていく

黒く沈む山々は
心の影のように
いっそう闇色が深くなる
原始からずっと同じ形のまま
だったのだろうか

流星が切り裂いた空は
少しめくれかけて
向こうの銀河も
透けて見える

天空の明るさは果てしなく
どこまでも広がっていく
空に心を投げ出していると
心の容量がふくらんで
無限大に伸びていく

この世界の配置は
すでに決まっていたのだろうか
どこかがふわりと揺らぎ始め
たくさんの奇跡が起きる

星の光を浴びながら
私は運命的な出会いの瞬間を
待ち続ける
朝になったら
空と同じ色の花が咲き
静かに回り始めるだろう







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