2010年5月28日金曜日

空飛ぶいちご~♪


    「空飛ぶいちご」

青くてまるい空の下
いちご畑に行ってみよう
お日さまぐんぐん飲みほして
笑ったいちご すましたいちご
みんないっしょに空見てる
 いちにっさん まっ赤なパワー
 いちごパワー

高くひろがる空の下
いちご畑であそんだら
おなかがキュンとすいてきた
ふっくらいちご とがったいちご
どんどん食べると楽しくなるよ
 いちにっさん まっ赤なパワー
 いちごパワー

たそがれていく空の下
いちご畑のいちごはみんな
空にむかって飛んでいく
きらめくいちご 空飛ぶいちご
夕焼け空になりました
 いちにっさん まっ赤なパワー
 いちごパワー

2010年5月21日金曜日

〇<第一詩集水辺~♪


    「水辺」


風と踊るために
しなやかな手足を伸ばす
草木の生命のかたち
地面を覆いつくす速度で
生いしげると
明け方の夢の中にまで
侵入してきた

はてしなく夏草の続く
土手道にそって歩いていた
ふいに水の匂いが恋しくなって
河原に降りていく
うすれていく境界線に
身を沈めると
熱気をはらんだ草の葉は
胸もとまで届き
澄みきった水面を
包みこんでいた

さえぎられると
遠くまで見渡せる視線
見つめられる触感に
空が伸びあがって
ぐらっと揺れている

めまいするほど
はるかな時をたどってきた川は
水底の砂利や魚影を
いっそうきれいに見せながら
ゆっくり流れている

ギチギチッと
空気がはじけて風が走るよ
草むらから吹きあがる
濃い緑色の昆虫たちは
夢の軌跡を描いている
せいいっぱい広げたうすい羽に
光を乗せて

向こう岸に立つ少年は
たった今地上に降りてきたばかり
白いシャツが光の波に洗われて
やわらかい唇の線が
かすかに動きはじめる
笑顔には星の光が残っていた

風を読んでいたのは
あなただったのですね

2010年5月13日木曜日

’新しい本(出会う~♪


     「出会う」

なだらかに傾斜している
鉄の階段をのぼりきって
歩道橋の上に立つと
空中に伸びる道路には
あかるい陽ざしが集まって
行ったり来たりざわめいている

向こうから歩いてくる人の
まわりに漂う風の色と
眼の光におどろいて
ふいに立ち止まる
何千年も前に
この場所で出会った人の
面影と重なっていった

車の流れをみつめながら
あなたが話しかけてくる
言葉の中から
湧きあがる白い雲は言霊
ふわり浮かんでたなびいて
まっ青な空に配置されていく

ながめているうちに
私たち、どこへ行こうとしていたのか
忘れてしまった
帰るところも忘れ
ふたりの上空に
新しい天空が広がった

ーあなたが作った空を
 どこまでも飛び続ける
 あなたがこぼした海を
 いつまでも泳ぐ

時間が止まったままの
まだ地面のない世界は
着地できないもどかしさ
不安のたびに壊れてしまうけれど

人と出会うために
胸の奥にしまいこんでいる
白い雲を呼びだして

吹きガラスのような宇宙を
何度も何度も
つくり出す

2010年5月6日木曜日

〇’第一詩集)新緑~♪


   「新緑」

暗褐色の樹皮が
すべすべになって
光りはじめるころ
かたい幹の深い奥で
思いつめていた心が
これ以上行き場もなくて
ぽっとはじけた

小さな音が
あたっりにひびき
世界が妖しく揺れている
樹木の心
樹木の夢
ちりちりと散らばって
木の内側をかけめぐる

地層の底から
こみあげてくる祈りのように
染み出して
樹形を描きながら
走りぬけ

木の先端まで
たどりついたものは
枝先からこぼれ
空気に触れるたびに
まっさらな緑の生きものに
変わっていく

あふれ出した
樹木の気持ちは
視線の向こうで
折り重なって
さざめきあって
まるい天空を覆い

風や日光を
そのまま映している