「ゆめみるかたち」
ゆきの国から
やってきたのか
まっ白いおうち
さんかっけいに
とんがっている
きいろいかいだん
とんとんあがると
いちばんうえで
待っているのは
まっ赤なイチゴ
ちょこんとすわり
キラキラひとみで
お空を見ている
あまいかおりに
つつまれていく
みんな大好き
イチゴのケーキ
ふくらんでいく
ゆめみるかたち
さ いただきます
ニジラのれきし
ぼくが おとうさんの「ほしのみはりばん」に
ついていったとき、ほしとほしのあいだを めぐっていたら
いきなりめのまえで おおきなひかり(いなびかりが 100こぐらいの)
がはじけて、あたまのなか ぐらぐらしはじめ
まっさかさまにおちていたんだ ぼくは
うぉーとさけびながら おとうさんに しがみついたけど
どんどんおちていった もうなにがなんだかわからない
どのくらいたっただろう だめかもしれないとおもったとき
からだごと どさーと ふわふわしたものに ぶつかって
はじかれながらも なんとか たすかったようだ
そらは まっさおで どこまでもつづく じめんには
あかむらさきのはなが いちめんに さいていた
そらのまんなかで とうさんとぼくは ふわふわしたものにかこまれていた
てにもあしにも ふわふわしたあかやきいろいものが くっついている
きらきらしていて
きれいだ ぼくは とてもおなかがすいていたので あかいふわふわを
まるめてくちにいれてみた
にじのおばあさん 2
「にじは おいしいだけじゃなくて
たべると たのしいゆめがみえるんじゃ」
ふたりは こっくり うなづいて
わくわくしながら きいていました
ほしのみはりを しながらも
ちきゅうのにじを いつも さがしているんじゃ
だからみつけると すぐに やってくるんじゃ」
「あっ だからさっきのにじも ニジラにたべられちゃったんだね
ニジラってめにみえないの?」
「そうじゃよ にじをたべているときに にじから
おっこちまったりするものも ごくまれに いてな」
「えっーにじから おっこちたニジラは
だいじょうぶなの」
「いや もうイッカクジュウざにはもとには もどれん
にんげんのなかまになってくらすことに なるんじゃ」
「ニジがでるたびに いえから とびだしては
そらをみあげているんじゃ」
「ニジラがおちんょうにねがったり
おちたら たすけなければならんのじゃ」
とつぜん かぜがふいてきました
おばあさんのぼうしが とばされてしまいました
「にじのおばあさん」
あめあがりの れんげばたけ
ミユとユイがおいかけっこしていたら
そらいっぱいに おおきなにじが
かかりました
ふたりは いろとりどりのにじをみあげて
おおよろこび
「わあーい ゆめのなかにいるみたい」
「にじって ほんとうにきれいだね」
ふたりは みとれてしまいました
でも しばらくすると にじは
すーっと そらにとけて きえてしまいました
「あーざんねん もっとながいことあるといいのにね」
「ほんとだよね」
ふたりは がっかりしました
そのとき そらをみあげながら
ひとりのおばあさんが やってきました
「にじをたべるものが いるんじゃよ」
と ぽつりといいました
ミユとルイはかおをみあわせて
「ええっーにじをたべるですってー」
とふたりいっしょにさけびました
おばあさんは つえをつきながら
ゆっくりとちかづいて あぜみちに ちょこんと
すわりました
「あのなあーニジラたちは にじがだいこうぶつなのじゃ
にじをみつけると ピューンととんできて
にじを かたっぱしから たべてしまうんじゃ」
「ニジラ」
「うそーそんなかいぶついるの?」
「そんな かいじゅうみたいじゃないよ」
「ニジラはイッカクジュウざに すんでいるんだ
コイヌざとオオイヌざのあいだにある
ちょっとめだたないせいざでくらしているんだよ」
ニジラのしごとは ほしのいちを みまもることでな
ほくとしちせいが ちゃんとななつそろっているかとか
カシオペアざが きちんとWというかたちになっているかなど
たしかめているのがしごとじゃな」
ミユとルイはたのしくなってきました
おばあさんは にこにこしながら はなしをつづけました
「ニジラはじょしのひかりを のんでくらしているんじゃ」
でもあるひ ちきゅうになないろのひかりがうかんでいるのを
みてからは そのおいしさに むちゅうになってしまったんだ」
それからニジラっていわれるようになっているんだ
ほしのひかりなどめもくれずにね
「海」
まだ朝日が
のぼりきらない
うすあかりの中
海に導かれるように
波打ちぎわを歩く
海がめくれて
いちまいの水
くるるらりん
はりるくりる
何枚も何枚も
打ち寄せてくる
私の素足の足首あたりで
受け取りながら
残り雲を見上げては
ただまっすぐ歩く
くるるらりん
はりるくりる
いつも何かの境目を
行ったり来たり
繰り返している
飛び散るひかり
ぴるる 水しぶき
空につきささり
海と空 陸と海
まざりあって
海に連れられて
向こう側まで
行ってしまいそうになる
空から降って来るもの
海から湧き上がるもの
すべてを全身で
浴びていると
体のなかを
海が通り過ぎていく
たぶん あの人のことが
好きだから 一歩ずつ
明け方の海辺を
どこまでも歩く
「雪原」
燃えたつほどの
冬晴れの青い空
冷風に磨かれて
きらびやかに光っている
私は眩しい空の真ん中で
立ち止まっていた
さっきまで雪のスロープを
まるでスノーボーダーのように
駆けのぼり
頂上で何度か回転していたはずなのに
無重力の空間に
取り残されたみたいだ
静止していた
私はいったいどこに向かっていくのだろう
太陽は溶け出したのか
空中でとろりと渦巻いている
雪原はすべての色彩と形を
飲み込んでどこまでも広がっていく
夢の途中で、夢の中だと
気が付いているのに
抜け出せないもどかしさにも似て
戸惑っていた
不確かな明日
確かなものなど何一つない
ただ瞬間から瞬間へ移るだけ
私の周りに張り巡らされた
(途中)