2010年7月31日土曜日

〇<第一詩集)想い♪

     「想い」

日ごとに
高まっていく想いは
いのちの底で
小さな光のつぶになり
矢のようにつらなって
私の地表を
飛び立っていく

ねむりこんでいる
無意識の海の
果てしない青さに
ひきこまれ
限界のない深度を感じながら
海底近くまで潜水

力のつづくかぎり
さまよって
ただよって

岩影で揺らめいている
あなたの魂に
たどりつきたい

ありったけの光をそそぎ
魂のまんなかを
走りぬける瞬間

(静かな海の底は
わたし自身の底とつながっているの)

つぶやきが
波をくぐって響きわたり
光はずぶぬれのまま
上空に向かって
ひろがっていく

2010年7月19日月曜日

〇<第一詩集)海~♪


     「海」

きしむ音をたてながら
こころが軌道をはずれていく
行き止まりの町で
日常からすべり落ちると
とつぜん呪縛が解けて
海が広がった

海辺に打ち上がられた
流木の背に腰かけて
私は海を見ていた
こんこんと湧き出てくる海水は
くぼんだ陸地に
のみこまれるように
地表を覆っていく

すこしずつ深まっていくね
気がついたら もう足が届かない

くもり空をまねた銀灰色の
光の波はせめぎあいながら
未知の海をひろげ
まるい水平線の向こうから
押し寄せてくる波とぶつかって
砕け散ることを夢見ている

恐竜のような流木は
この世の外からやってきた静けさで
はんぶん砂に埋もれている
さまよっていた時間が
溶けだしているんだね
私の靴の中も砂が入って
ざらざらしてきた

がらんと開いた風景は
見えない力にひっぱられ
うごき続けて定まらない

せっぱつまった思いが
遠近法を無視して
舞いもどってきた
(どこから来たの
 そしてどこへいくの)

空と地面を突き抜ける
道のない道を
ただ流れていくだけ
いつだって途上

海が私を見ていた

2010年7月11日日曜日

アイスクリームの国へ♪

    「アイスクリームの国へ」


お日さまじりじり暑い夏
今日の宿題とけたなら
アイスの国へひとっ飛び
アイスを愛するアイスマン

まっ白ふわふわ雪の上
どこかにみつかる冬のゆめ
つめたい風を身にまとい
アイスの国を大ぼうけん

スプーンでサクサクすくったら
あまい香りがあふれだす
とけないうちに食べちゃおう
アイスパワーでクール来る

こころがトロトロとろけてる
夏の魔法がとけないうちに
とけいを気にせずあそぼうよ
アイスを愛するアイスマン

2010年7月5日月曜日

(新しい本(スクリーン ♪

     「スクリーン」


うす暗がりの映画館では
スクリーンの登場人物だけが
光源になっている

俳優たちが発する感情と
観客の気持ちがつながったり
離れたりを繰り返し
ざわめきが広がっていく

生命の光が動いている
スクリーンをじっと見ていると
私がみつめられている気がする
主人公と同化した瞬間に
大きなスクリーンは
自分の内側に入っていく
入り口になる

エンドロールが流れる前に
自分自身のストーリーを
完結させなければならない

さみしいエピソードが
多すぎる物語だったら
せめて最後だけは
ハッピーエンドにしたい

上映時間は限られている
このフィルムが回っている間に
降り積もる問題を解き明かし
クライマックスにすべりこむ

たくさんのメイキング映像が
目の前に浮かんでくる
あの時、あの場所では
もっと高まる演出を
もっと似合うサントラを
私は監督の視線になる

七夕の夜に現れた人が
私の運命の人だと気づいたら
キャスティングを変更
ストーリーはスピードをあげて急展開
このまま最終章を駆けぬけよう

あなたのスクリーンに
映し出されている私は
今、どんな表情をしていますか
現実のストーリーはいつも進行形だ