2010年6月4日金曜日

〇(第一詩集)時のランナー~♪


     「時のランナー」

 「かけっこするひと
 このゆびとまれ」
彼方から湧きあがる
神妙な声に誘われて
夜明けま近の空に
するするっと手を伸ばす

闇をあやつっていた星の群れは
とびとびに帰っていくらしい
指先にとまったトンボの軽さで
夜の底をくぐりぬけると
目の前にくっきり浮かぶ一本の線
(スタートラインはいつも真っ白)
朝日をあびた玉砂利は
天球につづく光なのか
頭の中でなにかがはじけて
硝煙の匂いが熱い

「もう ゆびきった」
白線からころがり出た私たちは
いっせいに走る
きゅっとかみしめていた
空がほどけ 地がほどけ
とりとめのない祈りの色が
じんじん広がってくるから
心臓の音は時への賛歌
一瞬の深みへ飛び込んでいく

地面を蹴るたびに
(こんな ちっぽけなことば)
(こんな ちっぽけなこころ)
古い呼吸のように投げすてる
右肩をかすめて
通り過ぎていく人たちの
背中のかたちを
目に映しながら

あのコーナーを曲がったところに
新しい夢が落ちているかもしれない
予感だけに満ちた
時のトラックを
今日も走る

3 件のコメント:

  1. ゴッホの「星月夜」の絵をお借りしました~♪
    何となく~♪

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  2. ステキな絵~と思ったら、ゴッホだったんですね♪
    彼方から沸きあがる神妙な声に誘われて。。。
    本当に、そんな気がします~♪
    夢がある詩ですね~♪
    空が渦巻いてて神秘的な絵と神秘的な詩のコラボレーション♪
    いつも楽しんで読んでます♪

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  3. のりのりちゃん
    いつも読んで下さって、どうもありがとう♪
    コメントとってもうれしいです♪

    コラボの相手は何にしようかなあー?って、ちょっと悩んでいたのですが・・。
    ちょうど、今、国立新美術館にゴッホの「星降る夜」が来てるみたいで・・その画像を見ていたら、「星月夜]を思い出したので、これにしてみました・・。って、勝手に決めてるけど・・。

    空気のエネルギーが乗り移ったみたいどすえ~♪(あっ ここは京都と関係なかったですね♪)

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