気配
夕焼けになりそうな
気配に満ちた冬空から
ふいに受け取った小さいブーケ
透明なセロファンと
淡い紅色のラッピングペーパーに
くるくると包まれている
細いリボンをほどくと
植物の鮮烈な香り
部屋いっぱいに広がった
ま新しい水の宇宙に
とき放たれて
私の心も解れていく
きれいな炎になるつもりだった
グロリオサの花びらが
燃え上がりながら
染まったばかりの夕焼けに
突き刺さる
インカの遺跡の野原で
揺れていたアルストロメリア
風になりたかったのと
語りかけてくる
花のあいだを浮遊している
カスミソウは星の系譜
強く煌めくたびに
夕空に誘われて
立ち上っていく
花たちのエネルギーに惹きこまれて
私は時間からはぐれてしまう
気が付くと
いちめんの暗闇
夕焼けの後の暗闇は
澄み切っているから
忘れていた心の奥底まで
透けてしまう
私は、何になるつもり
だったのだろう
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