2012年2月20日月曜日

時のかたち~♪

「時のかたち」

ふと気がつくと
私はゾウの背中に乗って
空を飛んでいた

飛んでいるというより
圧倒的な浮遊感に
包まれたまま
運ばれていたのだ

なぜゾウなのかわからない
大きな耳を左右に広げて
ゆったりとはばたいていたし
長い鼻を前に伸ばし
息を吐いている
(今という時のかたち)

私とゾウが進むたびに
まっ白い雲が生まれ
あわい飛行雲がちらばって
まぶしい光にかわる

見おろすと
人も町もとけあって
とうめいな風景が流れていく
次から次へとすぎていく
方角の神々に守られながら

前方から強い風が吹いて
全身にぶつかってくるけれど
ゾウが吸収しているのだろうか
意外と心地良い風だ
スカーフはひらめいているが
前髪は静止している

物理の法則からこぼれおち
思考の範囲からも遠く
はぐれてしまった
私はどこへ行くのだろう

瑠璃色の粒子の濃度が
薄くなったり濃くなったり
幾重にも重なる空の層を
ぐんぐんと超えて行く

人はわけのわからない衝動に
つきうごかされて
謎をかかえたまま
今という時を越える
光と風のゾウに乗って

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