2012年2月9日木曜日

夕日から始まる~♪









「夕日から始まる」


何をかかえているのだろう
今日という一日を
ながめつくした夕日は
大きな円にふくらんで
銀とオレンジの光りをまき散らし
山のてっぺんに降りていく
重そうにゆさゆさ揺れながら

どこまで降りて行くのだろう
明日になったら
もう一度吹きあがってくることが
信じられないほど深い場所
濃くなっていく夕焼けの波が
押し寄せてくるのをかきわけて
夕日をが思いぅきり蹴ってみた
つま先で砕けて行く夕日の
熱いしぶきを全身にあびて
夕焼けの街を歩く

消えていく今日と生まれてくる明日の
まん中にぽっかり空いた闇の空洞
ざわめきの中で心は沈黙している

まっ暗な部屋に明かりをつけて
テレビのスイッチを入れると
次から次に溢れ出る映像
突き刺さるニュースの渦に
体ごと巻き込まれそうになる
時代に投げ出されていると
何かに吸引されている

のみ込まれる前に
たった今だけ
この瞬間を受け入れると
とうとつに開けてくる無限空間
どこからともなく湧きあがってくるものに
つき動かされて
私は走りはじめていた

不確かな空気を切り裂いて
どこまでもどこまでも走り続け
もう夜明けの町を走っていた
星が帰ろうとしている透明な道が
やけにきれいな青い空に浮かぶ
いちばん静かな時間に
心のパーカッションは鳴り響く
待っているのではなく
自分でむかえにいく朝日

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