2011年1月23日日曜日

地球へ~♪


        「地球へ」


あなたと出会ったことが
ほんとうに良かったのか
どうだったのか
よくわからないまま時が過ぎ
わたしたち人類は
ここまでやって来ました

暗い宇宙にぽっかり浮かんだ
あなたの「姿」がとてもきれいだったので
おもわず見惚れてしまい
まっしぐらに駆け下りたのが
最初でした

あれから何十億年の日々が
動いたのでしょう
おたがいの存在を感じながら
楽しい日も苦しい日も
いっしょに過ごしてきました
心がつながって新しい大気を
作り出してきたのです

だけど、近頃のあなたの様子は
ちょっと気がかりです
酸素の量が足りないのでしょうか
心の位置が見えにくくなってきました
聞きたい言葉も聞こえてきません

もう行き止まりなのかもしれない
と、思いながらも歩きつづけ
断崖の上に立って眺めたとき
向こうには光る海が広がっていました

あの海には未来の時間が
溶けこんでいるのです
生命体の不思議をかかえ
わたしたちも行けるところまで
行ってみましょう

すべての出会いに歓喜し
全身でしっかり受けとめて
唯一無二の水の惑星の
無限と有限の真っただ中を
ゆっくりとつき抜けていきます

あなたと出会ったことが
良かったのかどうかなどと
問うことさえ忘れて

2011年1月18日火曜日

熱視線~♪

  これは既出の「氷上の4分30秒」の短いバージョンですが・・。一応、載せておきますネ♪


        「熱視線」


スケート靴を履いて
氷の上を滑りはじめると
顔にあたる風が心地良い
エッジで世界を感じている
(湧きあがる声援を全身で受けとめて
キミは澄み切った表情をしていた)

スピードをあげて滑走すると
ぼくの不安感や緊張感を
ブレードが切りさいて
氷上に新しい曲線を描く
一瞬ごとに自分の限界を超えていく
(キミは野生の動物の目をして
ひたむきに何かを追っている)

思いきり高く飛びあがって
宙に投げ出された独楽のように
キリキリと回転する
ジャンプが決まるたびに
拍手が波になって押し寄せてくる
(キミは翼を持った天使になって
軽々と空を飛びつづける)

氷がとけるほどの熱気の中
ぼくがステップを踏みだすと
つま先から音楽があふれ出す
(キミの情熱がほとばしる演技に
私たちは吸い込まれていく)

2011年1月11日火曜日

トキオ時計店~♪

  新しい年が始まって、10日過ぎました~♪今年のブログは、ここからスタートです♪さて、どんな作品をUPしようかなぁー?気分を換えて、ファンタジーを載せてみましょうね♪

     「トキオ時計店」

 なだらかにつづく山道は、もうすっかり落ち葉が積りつもり、秋の匂いでいっぱいです。葉っぱをふみしめながらゆっくり歩いていくと、きゅうに霧がたちこめてきました。霧の向こうに、丸太をかさねてつくった家がうっすらと見えてきますね。かんばんも何もありませんが、ここが有名な「トキオ時計店」です。木のドアを開けて、中に入ってみましょう。トキオさんは、丸メガネをかけて、青空のような色のシャツを着て、いっしょうけんめいに木を削っています。

 「こんにちは」と声をかけると、仕事の手をとめて、「やあ、いらっしゃい」とにこにこしながらむかえてくれました。目がとても澄んでいます。店の壁にも、ショーケースの中にも、ずらりと時計がならんでいます。クスノキ・ケヤキ・サクラ・クルミ・・・いろいろな種類の木を、星や月などの形に切って、長い針と短い針をつけただけの、とても素朴な時計ばかりです。木の目がとてもきれいなので、ひとつひとつ見ていると、時を忘れてしまいそうになります。「トキオさんの作った時計を持っていると、なんだか幸せな気分になるよ」ってみんなによろこばれていました。なかでも、目ざまし時計は、起きたい時間にセットしておくと、ふしぎなメロディーが鳴って、パッチリと目覚めることができます。「こんなにさわやかに目が覚めるのは、トキオ時計店の時計だけだよ」って、うわさが広がって、どんな遠いところからでも、お店を探して訪ねてくる人が多くなってきました。うわさはどんどんひろがっていきました。

 ある晴れた日の朝のことです。トキオさんが店をあけるまえに、掃除をしていると、窓から一匹のスズメが飛びこんできました。「あのーすみません」スズメはおどおどしながらも、かぼそい声で話しかけてきたのです。トキオさんはおどろいてしまいましたが・・スズメは羽をバタバタさせながらも、ひたむきな顔つきで話しはじめました。[朝、はやく起きることのできる時計を作ってくださいませんか」「ええっ? だってスズメさんたちは、はみんな早起きじゃないか」スズメは「はい、私たちは、だれよりも早く起きて、歌を歌いながら、朝をよんでくるのが仕事です。みんなによろこんでもらえるのが、楽しみなのです。ところが、最近、さんかく森の若者スズメたちが、、なかなか起きてこなくて・・・。朝がおそいぞぉ~ってたくさんの苦情がくるようになったのです」と、とっても困ったようすです。
「そういえば、最近、夜がなかなか明けないし、スズメの声が少ないような気がするね」トキオさんは、朝食のパンをスズメにすすめながら、しばらく考えこんでいましたが・・・。「よしっ じゃあ私の時計をつかってみてください」トキオさんは、時計に「朝」という文字を彫ってから、スズメに手渡しました。スズメはたいへん喜んで、時計を大事そうにもって帰っていきました。(この続きは、また明日~♪)