2010年11月23日火曜日

●’新しい本)冬のタンゴ♪


       「冬のタンゴ」


凍てついた真冬の空の
どこか遠くの一角が
砕け散っているらしい
美しい破壊のかけらが
降ってくる音がして

キミは目覚めると
漆黒のレース地の衣装で
踊りはじめる
熱い思いを閉じこめて
胸元のローズレッドの花柄が
燃えている

バイオリンとバンドネオンの
音色がからまりあいながら
宙をすべっていく
どうしても伝えたい思いを
音の波に乗せて
タンゴのステップを踏んでいる

心がつまずいても
また伸びあがって
前に進んでいくような
スタッカートのリズムは
届きそうで届かない
せつなさの軌道。

観客席で見ている私たちも
無心に踊る姿に魅せられて
ひきこまれていく
魂の通路をとおって
キミの内部と同化した瞬間

スケートリンクは青く結晶し
地上の天空になる

思い切りジャンプして
くるくるまわっている
キミはひとつの惑星
手を差し出すと
宇宙が腕を伸ばして
キミに触れそうになる

さっ いっしょに踊ろう

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