2010年4月16日金曜日

〇<第一詩集)春の雨音~♪


    「春の雨音」

るっぴん るっぴん
ふいに明るい雨の音
銀色まだらの大空を
すっすと撫でて るっぴん るっぴん
ひしめきあう水滴曲線に
小さな光を宿し

吸いこまれる のみこまれる
澄みわたる吉備の野へ
びっしょり黒光りの土の中へ

 「何だかあったかいね」
 「うん、ぼくのあたまのなか
 まあるくなってきたよ」
 「からだのすみずみまで
 しみとおっていくね」

ゆうらゆうたちのぼれ
透明なオーロラの微風
ゆうらゆうたちのぼれ
いのちの揺れ
(あの山にねむる古代人は
ひときわつめたい唇に
春の最初の雨つぶを受けたとき
ことんと目をさますという)

ひとり またひとり
土くれをかぶったまま
起きあがるから
荒い息を吐く肩の向こうに
円形のまばゆい空間が広がる

記憶の底の
弥生の土器はさくら色
はるか宇宙樹のてっぺんを
ゆさゆさ泳ぐ
はるかすみと同じ色
土器の中でひたひた波うつ水は
未来形に伸び
大きな太陽を内蔵していた
長い黒髪を後ろで束ねた女の人が
ゆっくり手をひたすと
日光はちりぢりに反射し
顔に照りかえる

いつもこうして最初の命は始まる
いく億もの朝が通り過ぎ
るっぴん るっぴん
地平線の真上をつたう雨の音
果てしない宇宙の時間を
問うことさへ忘れたように
今日の雨は
ノックする

2 件のコメント:

  1. マイマイさん~美しい桜の写真と美しい詩、素敵ですね♪
    マイマイさんの人柄が出てますよ・・・♪
    あったかい気持ちになります・・♪
    ほんと素敵です・・♪
    綺麗なもの、美しいものは、見ているだけで癒しですね♪

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  2. のりのりさん

    春の雨音を聞いていると、何だか懐かしいような不思議な気分になりますね~♪あの雨の音は、生命を育てている音なのでしょうね♪

    この桜は、市内の半田山の桜ですが・・。先々週、凱旋のときに、「車の中から満開の桜が見えてうれしかった」と言っていましたので、この桜も視界に入ってたかも・・(笑)

    綺麗なものは、見ているだけで癒しですって~♪のりのりさんが言うと、、やっぱり大ちゃんを思い浮かべてしまいますね。
    (*^_^*)(*^_^*)

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