2021年11月16日火曜日

なつ

     「なつ」


空の向こうが

ギラギラひかり

もくもくかいじゅう

あらわれた


まっ青な空

ばりばり食べて

どんどん大きく

ふくらんでいく


にゅうそう雲は

もくもくかいじゅう

まっ白い巨体が

こっちにくるよ


笑いころげて

はねまわるたび

あたりいちめん

バニラの香り


空と雲とを

味方につけて

ぼくらは夏の

まっただなか

2021年11月14日日曜日

ネジバナの階段

        ネジバナの階段


空の蕾を見つけるたびに

旅人の手のひらから広がっていく

幾千もの空の花

それぞれ違う空の下には

しじなでも続く平原

もしかしたら必然


地面から立ち上がる

ネジバナの形と色彩

光彩に映し出す


ネジバナの階段

のぼり始める決断

一歩ずつ足場をみつけ

右。斜めに上昇していく


下を向いたら落下

楽観しながら前を向く


花の配列に導かれるまま

進んでいくとくるり

くるくる回る螺旋階段

さっきと似たような風景なのに

風が濃くなってきた

花は散る いや散らない


からまってくる日常を

振りほどきながら

とまどいの多い日々

ひび割れないように

何度もねじれながらも

いっきに加速度あげて

遠い空をめざす旅


意識の仲では

難しいリズムで

踊りを踊る

宿る精霊

冷静な金星の方向へ


くるくる回っていると

心の螺旋と混ざり合ってくる

もう、どこからが空なのかわからない


未来の見えないこの世界の

まんなかにある平原で

さあさあと声かけあって

ねじれながらもつれながら

謎の階段をのぼっていく