「糸の言葉」
鮮やかな色彩の糸が
リズミカルに並ぶ
ミャオ族の刺繍展
不思議な模様の美しさに
引き込まれていく
糸が呼吸しているわ
と思った瞬間
刺繍糸のあいだから
蝶がこぼれ
展示ケースを抜け出して
中空を舞い始めた
たくさんの蝶が
無数の精霊を連れて
いっせいに乱舞している
光る鱗粉に触れるたび
懐かしい場所に帰っていく
ミャオ族の最初の人は
蝶の卵から生まれたという
私は一匹お蝶になり
大気の中できらめいている
光源を探しながら
風のすきまに滑り込む
ミャオ族の女は調の魂を宿し
宇宙に張り巡らされた糸を
たぐり寄せながら
伝えたい気持ちを
一針一針にこめて刺していく
伝えたい思い
あなたに届いていますか
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