2016年8月30日火曜日

’新しい本)もっと遠くへ

    「もっと遠くへ」

土手道に自転車を停めて
とろとろっと降りていくと
なつかしい水の匂い
乱反射している水面を
みつめていると

草むらから弾ける音がして
風が走り
鮮やかな蝶々が
ゆっくり飛翔する

時空が変化する瞬間
心は清められていく
川は太古から流れてきて
未来に向かっているのか

いつもの風景なのに
初めて訪れた場所のように
みずみずしく光っている
ここはどこの惑星なのだろう

ほんの少し移動しただけで
はるかな異空になる

あなたが見守ってくださるから
私たちは安心して進んで行ける

地面から湧き上がる
新緑の勢いと
あなたの視線に
押し上げられて

もう一度
坂道を登って
もっと遠くまで行ってみよう
未知の言葉の世界へ