2015年10月9日金曜日

流れ星、探そう

      「流れ星、探そう」

流れ星みつけたくて
あい色の空
みつめている
星座はみんな
ならんだけれど
流れ星は
まだ出ない

きん色にひかりながら
かけぬけていく
ふしぎなあかり
あのきらめきに
会いたくて
願いをこめて
待っている

流れ星みつけたら
まっ赤なハート
星の魔法に
かけられて
想いが届くと
信じてる

あっ 流れ星
 

2015年9月14日月曜日

キミとボクとコスモスと

       「コスモス」

秋の日差しが
きらめいている大地から
すっくと立ちのぼる
しなやかに青空を泳ぐ
コスモスの花
どこまでも続く道

キミと出会った
ひろい宇宙の中
やさしい光の引力で

キミと手をつないで
歩く道
笑っている
語っている
ときめいている

キミとボクとコスモスと
はるかなものたち
みんなつながっている

るり色の秋が
すべてを包み込む

2015年8月26日水曜日

●追いかける

          「追いかける」
青空を突き抜けていく
大きな白い雲の
動く音が聞こえると
雨あがりの蜘蛛の巣は
虹色に光り
ツユクサに残る宇宙の雫が
ユラッと輝き始める


夏休みの少年たちは
日焼けした細い指で
虫取り網の柄を握りしめ
毎日、昆虫を追いかけていた

夏の波動を送り続けるセミ
魂を背中も乗せて運ぶチョウ
空気を切リ開くトンボ
宙を飛ぶ美しいものたちを
自分の網で捕まえたくて
網を振りまわす
空を泳ぐ無数の網

捕獲しても
すぐに空に放すのに
捕まえた瞬間の感触が
忘れられなくて
何度も何度も繰り返す
空を掬い続けていると
暑い空気が流動する


虫を追いかけて
迷い込んだ裏庭の
ひんやりした異次元の空気を
吸い込んで

世界に張り巡らされた
インドラの網が
見えてくるまで
掬い続ける

夏を生け捕りにしたかった
のかもしれない

少年たちの夏は
いつまでたっても終わらない
振り上げた虫取り網は
空に静止したままだ



2015年6月19日金曜日

おはよう、夏の朝

      「おはよう、なつのあさ」

おはよう
あさがお
なつのあさ
いよいよはじまる
なつやすみ
いろあざやかに
そめていく

おはよう
たいよう
なつのひび
おもいきりあつく
かがやいて
みんなげんきに
かけまわる

おはよう
せみたち
なつだもの
にぎやかなこえ
ひびかせて
ぼくもいっしょに
うたいだす


    「なつやすみ」
ねぼけまなこに
飛びこんでくる
色あざやかな
あさがおの花
うすい花びら
しなやかに
夏の宇宙は
パッとひらく

今日もいちにち
がんばろう
楽しい夏を
跳びはねる
あさがおの花
咲いてるうちに
宿題すませ
出かけるよ


   「つゆくさ」

つゆくさに朝つゆ残り
とうめいな水玉は
日光を浴びて
キララと光る
遠くからの信号を
受け取った気がして
心が澄んでいく
夏の一瞬



2015年3月25日水曜日

2015年3月21日土曜日

飛ぶ

        「飛ぶ」

夥しい数の蝶が
空を覆っていた
しなやかに羽をひらめかせ
飛んでいるのか
舞っているのか
風の形を描きだす
どこに向かっているのだろう

すきとおった青空を
吸い込みながら
空を渡っていたら
わたしの羽
空の色が浸みてきたわ
太陽と大地の色の
縁取りのなか
浅葱色に染まる

アサギマダラは
鮮やかな模様の羽を広げ
2000キロを超える旅をする

なぜ遠くまで飛ぶのか
わからないわ
体の中から湧き起こる
衝動のままに
今という時を飛ぶ
一瞬ごとに新しくなる空を
ずっと見ていたい

何かが呼んでいる気がする

キジョランの葉を食べて
育った頃の記憶を乗せて
ヒヨドリバナやフジバカマの
蜜の方向に向かっていく

疲れたら波に止まって
ねむるの
暗い波間に浮かんでいると
ファンタジックな星空が見えた
少し休んだら
また飛びたつわ

仲間と交信しながら
空気と踊る
羽を静かに動かせるたび
くるくると時空が変化する

アサギマダラの群舞のように
わたしたちも飛び続ける
心の中で無数の蝶が
飛翔しているから

2015年3月4日水曜日

コスモス

      「コスモス」

秋の日ざしが
きらめいている大地から
すっくと立ちのぼり
しなやかに青空を泳ぐ
コスモスの花が
どこまでも続く道で
キミと出会った

ひろい宇宙のなか
やさしい光の引力で
ふたりは出会った

キミと手をつないで
歩く道
笑っているコスモス
語っているコスモス
ときめいているコスモス

キミとボクとコスモスと
はるかなものが
みんなつながって
ひとつになると
るり色の天が
秋のすべてを包み込む


◎秋の号のために

2015年2月14日土曜日

春になったら

      「春になったら」

春になったら
旅に出ようか
あたらしい自分
さがしに行こう
不安だけども
勇気を出して

一歩すすむたび
未知の風景
ひろがっていく
春の香りを
吸い込みながら
どんどん前へ

春のまんなか
ときめく気持ち
湧きあがるから
夢のつぼみ
ひらく時まで
旅を続ける

2015年2月12日木曜日

春のステージ

      「春のステージ」

菜の花が咲くと
優しいあかりがともる

菜の花は並んだまま
いっせいに咲くので
あたりいちめん
明るくなっていく

いつのまにか
どこまで続くのか
わからないほど連なって
眩しい光のステージが
できあがる

新しい春を
迎えるためのステージ


「春の兆し」

はりつめていた空が
ほころんで
すきとおった雲が
溶け込んでいく
まだ咲いていない花の香が
ただよってくると
大気がふるふると
ときめき始める


◎奈の花の黄色い波動空に満ち

◎白雲も梅の香染まる春近し

◎神話から抜け出して咲く水仙花

2015年1月27日火曜日

時を呼ぶ

    「時を呼ぶ」

とうめいな雨つぶが
透明な風景の中を
いっせいに降りてくる
無数の雨つぶが連なって
線になったり面になったり
かたちを変えながら
私の目の前を通って行く

雨つぶのひとつひとつには
小さな光を宿し
地面のものにぶつかるたびに
それぞれの音を奏でながら
地面に吸い込まれていく

雨音が遠ざかる頃
空気がやわらかくなって
立ちのぼり流動し
風景がりんかくを
とり戻すと
新しい色彩を
発し始める

冬から春へとつながっていく
あざやかな瞬間