「青い樹木」
夜の雨音を聞いていると
漆黒の闇の中を
銀色に光りながら
落下し続ける
無数の水滴と同化して
遥かな空とつながってくる
雨の通路をたどりながら
ねむっていると
夢にすべりこむ直前に
青い樹木が立っているのを
見かけることがある
るりるりと光っている
青い樹木は
緑の木々のあいだから
唐突にあらわれて
一瞬で心に飛び込んでくる
樹木に吸引されるように
近づいていくと
今日の自分が抱えているものが
浮かび上がって見えてくる
いつのまにか凍りつくほど
凝縮していた緊張感が
とろとろと溶けていく
からみあったまま
固まっていたものが
するすると解けていく
人は皆、一本の青い樹木を
心の中で育てている
枝葉がそよぐたびに
原初の存在に
戻っていける
雨あがりの朝には
自転車に乗って
あの青い樹木を探しにいこう
カラマツ林のなか
涼しい風を受けながら
地面に残っている
雨の雫を飛びこえて
夢の続きを追いかける
リアルと非リアルは
つながっているから
自在に行き来しながら
夢を超える
2013年3月13日水曜日
月光
「月光」
月あかりを透かして
妖しい光を放っている
樹木の葉群れの下で
あの人が踊っている
まっすぐな眼差しで
とろけるほどしなやかに
手足が宙を舞っている
太古の祭式のように
指先からエネルギーが流れ
清められた空間が
ぽっかり出現すると
アクアマリンの空気のなか
魚座のあなたが動くたびに
音が聞こえる
静寂を溶かして
音が連なっていく
飛びかっている音色は
あのムーンライトソナタ
作曲家が苦しい恋をして
愛しい人に捧げたという
月光の旋律
あの人は、今、どんな思いで
月光を踊っているのだろう
試合直前のひととき
月光色に染まりながら
月の妖精といっしょに
無心に踊りつづける
あなたの体から
光があふれ出し
あなた自身が光源になった
どんなに濃い暗闇の時も
あなたの存在だけで
明るさを感じることができる
あなたの笑顔で幸せになる
私の宇宙のほとんど全てを
占めている人
今宵の本番で、月光を舞う
あの人の全身からキラキラと
ほとばしり出る
まぶしく華麗な月の光よ
どうか、私の心の底まで
染み通れ
月あかりを透かして
妖しい光を放っている
樹木の葉群れの下で
あの人が踊っている
まっすぐな眼差しで
とろけるほどしなやかに
手足が宙を舞っている
太古の祭式のように
指先からエネルギーが流れ
清められた空間が
ぽっかり出現すると
アクアマリンの空気のなか
魚座のあなたが動くたびに
音が聞こえる
静寂を溶かして
音が連なっていく
飛びかっている音色は
あのムーンライトソナタ
作曲家が苦しい恋をして
愛しい人に捧げたという
月光の旋律
あの人は、今、どんな思いで
月光を踊っているのだろう
試合直前のひととき
月光色に染まりながら
月の妖精といっしょに
無心に踊りつづける
あなたの体から
光があふれ出し
あなた自身が光源になった
どんなに濃い暗闇の時も
あなたの存在だけで
明るさを感じることができる
あなたの笑顔で幸せになる
私の宇宙のほとんど全てを
占めている人
今宵の本番で、月光を舞う
あの人の全身からキラキラと
ほとばしり出る
まぶしく華麗な月の光よ
どうか、私の心の底まで
染み通れ
2012年11月29日木曜日
鼓動
「鼓動」
あなたの出番を待っていると
私の心の高揚と動揺を
映し出すように
夕暮れの雲は流動しながら
いろとりどりに変化していく
山ぎわの上空がざわめいて
かすかに震えだすと
空全体がドクンドクンと
波うち始める
あなたの鼓動の音が
体を抜け出して
宙に響きわたっている
私たちは心を静めて
願いごとを
空に飛ばす
あなたを見守る
たくさんの人々の祈りが
空を駆けめぐり
あなたのいる場所に向かっている
あなたの出番が近づくと
空気が濃くなって
凝縮された時間の中に
流れ込んでくるから
息苦しくなる
あなたの鼓動と
私たちの祈りが
混ざり合ったとき
緊張感や焦燥感で
固まっていた空気が
ほどけていく
スケートリンクに歓声があがり
オペラ「道化師」のテーマ曲が
流れてきた
あなたの出番を待っていると
私の心の高揚と動揺を
映し出すように
夕暮れの雲は流動しながら
いろとりどりに変化していく
山ぎわの上空がざわめいて
かすかに震えだすと
空全体がドクンドクンと
波うち始める
あなたの鼓動の音が
体を抜け出して
宙に響きわたっている
私たちは心を静めて
願いごとを
空に飛ばす
あなたを見守る
たくさんの人々の祈りが
空を駆けめぐり
あなたのいる場所に向かっている
あなたの出番が近づくと
空気が濃くなって
凝縮された時間の中に
流れ込んでくるから
息苦しくなる
あなたの鼓動と
私たちの祈りが
混ざり合ったとき
緊張感や焦燥感で
固まっていた空気が
ほどけていく
スケートリンクに歓声があがり
オペラ「道化師」のテーマ曲が
流れてきた
2012年10月28日日曜日
2012年8月2日木曜日
樹木と太陽と
「樹木と太陽と」
真夏の午後の
太陽は空のまん中で
大きくふくらんで
膨大な量の光を
投げかけてくる
強い熱風をあびて
風景は立ち止まり
居場所を失って
とろとろとけ始める」
建物も電柱も道路も
みんな空とつながって
不思議な曲線を描き
ゆるやかに渦を巻いている
時間もとけ出しているらしい
心が巻きこまれそうになる
私は、粘っこい粒子を
かきわけながら前に進み
からまってくる空気を
くぐりぬけると
目の前に一本の樹木が
立っていた
樹木はくっきりとした
りんかくを持ち
空に向かって上昇していた
めらめらと燃えたつように
伸びあがって
太陽と対面している
葉の先まで澄み切って
すべての光を受けとめて
枝葉が揺れている
樹木の内部からのエネルギーで
あたりの大気がほどけて
風になっている
真夏の午後
ゴッホの絵の中に
まぎれこんだような
ひととき
あの樹木のなぞは
まだ解けないままだ
真夏の午後の
太陽は空のまん中で
大きくふくらんで
膨大な量の光を
投げかけてくる
強い熱風をあびて
風景は立ち止まり
居場所を失って
とろとろとけ始める」
建物も電柱も道路も
みんな空とつながって
不思議な曲線を描き
ゆるやかに渦を巻いている
時間もとけ出しているらしい
心が巻きこまれそうになる
私は、粘っこい粒子を
かきわけながら前に進み
からまってくる空気を
くぐりぬけると
目の前に一本の樹木が
立っていた
樹木はくっきりとした
りんかくを持ち
空に向かって上昇していた
めらめらと燃えたつように
伸びあがって
太陽と対面している
葉の先まで澄み切って
すべての光を受けとめて
枝葉が揺れている
樹木の内部からのエネルギーで
あたりの大気がほどけて
風になっている
真夏の午後
ゴッホの絵の中に
まぎれこんだような
ひととき
あの樹木のなぞは
まだ解けないままだ
2012年3月27日火曜日
●(新しい本)ほのお~♪
「ほのお」
一冊の書物の中には
いくつものあかりが
ともっていて
ページを開くたびに
あたらしい光に
照らされる
ひとつひとつの言葉が
柔らかく燃焼しながら
発光しているので
暗がりが活気づいて
きれいな闇色に染まる
そのあいだを走り抜ける
光の方向を目で追うと
ずいぶん遠くまで
見わたせる
ボスコのランプ
カモンイスの猫の瞳
ノヴァーリスの花咲く樹
ファラデーのロウソク
バルザックの植物
書物からあふれ出る
さまざまな光は
飛び交いながらうずまき
大きな星雲になって
宙を漂ったり
地に降りて一輪の花になる
バシュラールが見つめ
夢想していた蝋燭の
つややかなほのおは
いつまでも燃え続け
今も、私たちの目の前で
揺らめいている
謎を持つ芳醇な言葉に
満たされていると
イマージュのほのおで
未知のお空間が
どんどん膨らんで
無限に広がっていく
一冊の書物の中には
いくつものあかりが
ともっていて
ページを開くたびに
あたらしい光に
照らされる
ひとつひとつの言葉が
柔らかく燃焼しながら
発光しているので
暗がりが活気づいて
きれいな闇色に染まる
そのあいだを走り抜ける
光の方向を目で追うと
ずいぶん遠くまで
見わたせる
ボスコのランプ
カモンイスの猫の瞳
ノヴァーリスの花咲く樹
ファラデーのロウソク
バルザックの植物
書物からあふれ出る
さまざまな光は
飛び交いながらうずまき
大きな星雲になって
宙を漂ったり
地に降りて一輪の花になる
バシュラールが見つめ
夢想していた蝋燭の
つややかなほのおは
いつまでも燃え続け
今も、私たちの目の前で
揺らめいている
謎を持つ芳醇な言葉に
満たされていると
イマージュのほのおで
未知のお空間が
どんどん膨らんで
無限に広がっていく
2012年3月13日火曜日
もっと深く~♪
「冬」
冷気がさえずりはじめた日、凍てついた扉が
裂けると、いちめん色のない虚空が広がって
いた。私は、狂った糸巻きのように、無数に旋
回しながら、冬の中へ落ちていきます。
空と大地のさかいがうすれ、人と人のさか
いがうすれ、見わたすかぎりの万物がほどけ
て、ゆっくり溶け合っていく。真冬の国は、
無重力のびいだま宇宙、憂うつと安息が、流
れ模様になってうずまくつややかな矛盾体。
そっと、のぞき込むと半透明な景色が、水
蒸気のにおいの中で、ふるふるふるえてい
る。北風がいっしゅんの閃きで彫った山や河。
今、生まれたばかりの清々しい息を吐き、お
ごそかな顔だちで祝典を待つ。無口な木石は
明けがたの夢の彷徨。水枝を持った樹木は、
時間を超えて立ちつくす。
昨日まで、一本道だった。私の白い道は
放射状にのび、分岐点を過ぎるごとに大きく
うねり、血管のかたちで無限の循環をくりかす。
星々からのさみしい波動を受けた、第三惑星
の住人たち。ひたいに風の結晶を浮かべ、あつ
い夢だけをまとって、行者のまなざしで歩く。
闇にのみ込まれる前に、どうしてもたどり着き
たい町があるから。背中のまんなかにすっぽり
陽を浴びて、不確かな光源からの見えない糸の
束を、かすかに感じながら歩く。
「なぜいつも遠くばかりみつめているの」「目の
前をガラスの小馬が疾走するよ」たてがみが
空に触れるたびに、「シャリーン」とふしぎな音が
立ちのぼる。霧の笛と共鳴して、小さく響き合い
天にあふれる。
灰色の雲が割れて、新しい「青」が飛び散り
私の体を彩が流れる。
(冬の底をつらぬいて、もっと深くもっと深く
落ちていく)
冷気がさえずりはじめた日、凍てついた扉が
裂けると、いちめん色のない虚空が広がって
いた。私は、狂った糸巻きのように、無数に旋
回しながら、冬の中へ落ちていきます。
空と大地のさかいがうすれ、人と人のさか
いがうすれ、見わたすかぎりの万物がほどけ
て、ゆっくり溶け合っていく。真冬の国は、
無重力のびいだま宇宙、憂うつと安息が、流
れ模様になってうずまくつややかな矛盾体。
そっと、のぞき込むと半透明な景色が、水
蒸気のにおいの中で、ふるふるふるえてい
る。北風がいっしゅんの閃きで彫った山や河。
今、生まれたばかりの清々しい息を吐き、お
ごそかな顔だちで祝典を待つ。無口な木石は
明けがたの夢の彷徨。水枝を持った樹木は、
時間を超えて立ちつくす。
昨日まで、一本道だった。私の白い道は
放射状にのび、分岐点を過ぎるごとに大きく
うねり、血管のかたちで無限の循環をくりかす。
星々からのさみしい波動を受けた、第三惑星
の住人たち。ひたいに風の結晶を浮かべ、あつ
い夢だけをまとって、行者のまなざしで歩く。
闇にのみ込まれる前に、どうしてもたどり着き
たい町があるから。背中のまんなかにすっぽり
陽を浴びて、不確かな光源からの見えない糸の
束を、かすかに感じながら歩く。
「なぜいつも遠くばかりみつめているの」「目の
前をガラスの小馬が疾走するよ」たてがみが
空に触れるたびに、「シャリーン」とふしぎな音が
立ちのぼる。霧の笛と共鳴して、小さく響き合い
天にあふれる。
灰色の雲が割れて、新しい「青」が飛び散り
私の体を彩が流れる。
(冬の底をつらぬいて、もっと深くもっと深く
落ちていく)
登録:
投稿 (Atom)