2021年2月2日火曜日

気配

 気配


夕焼けになりそうな

気配に満ちた冬空から

ふいに受け取った小さいブーケ


透明なセロファンと

淡い紅色のラッピングペーパーに

くるくると包まれている


細いリボンをほどくと

植物の鮮烈な香り

部屋いっぱいに広がった


ま新しい水の宇宙に

とき放たれて

私の心も解れていく


きれいな炎になるつもりだった

グロリオサの花びらが

燃え上がりながら

染まったばかりの夕焼けに

突き刺さる


インカの遺跡の野原で

揺れていたアルストロメリア

風になりたかったのと

語りかけてくる


花のあいだを浮遊している

カスミソウは星の系譜

強く煌めくたびに

夕空に誘われて

立ち上っていく


花たちのエネルギーに惹きこまれて

私は時間からはぐれてしまう

気が付くと

いちめんの暗闇

 

夕焼けの後の暗闇は

澄み切っているから

忘れていた心の奥底まで

透けてしまう


私は、何になるつもり

だったのだろう


















2020年12月27日日曜日

        「天使と繋いだ手」「

        「天使と繋いだ手」を読んで


マリアはるなさんの柔らかい色調の絵が、たくさん散りばめられた新装版を読み始めています

2020年12月4日金曜日

連なっていく

       連なっていく


不安な時間が

どんどん膨らんで

うねりながら

こちらにやって来る

受け止めきれなくて

私はうずくまってしまった

時の残骸は散らばったまま


見上げた空は

無心にひろがり

樹木の枝がしなりながら

空を抱き上げていた

一瞬ごとに変わっていく

空の色彩と動き

全部包み込んで

ゆるやかに立つ樹木


私も樹木のように

立ち上がってみよう

敷き詰められた

真っ青な空が.

頭上で揺らめき始め

一点キラッと光ったら

飛び散る青空の破片

私の胸につきささる


固く閉ざしていたものが

するすると解け

新しい光が現れる

滞っていた時間が

しなやかな時の形にもどり

私の中にすべりこむ

体中を駆け巡る


内側からこみあげてくる力

私は樹木の魂と同化していく


私の枝先で

若葉が小さく揺れる

地面を踏みしめて

大きく背伸びをすると

内なる宇宙樹とつらなっていく











2020年5月5日火曜日

花火

       「花火」

私の思いが
どんどんふくらんで
あふれそうになったら
飛び出して行こう

闇をかきわけ
するする駈け上って
いっきに弾ける
思いっきり跳ねる

おう 来たな
あっつい あっつい
空はのけ反りながら
全身で受け止めている

とどろきわたる
音とひかり
大地も空も夢も
ゆさゆさ揺れている


夏の夜空には
たくさんの思いが
あっちでもこっちでも
大きく跳びはねている




2020年4月19日日曜日

もみじの銀河

        「もみじの銀河」

星のかたちの
まっ赤な葉っぱ
かさなりあって
さわさわ揺れる

秋のひかりを
ちりばめながら
どこから来たの
なぞの星たち

見あげると
ギザギザ青い空
おひさま透かして
もみじの銀河

深く息を
吸いこんだなら
宇宙がすこし
近づいてきた

2020年3月21日土曜日

2020年2月19日水曜日

糸の言葉 2020

          「糸の言葉」

鮮やかな色彩の糸が
リズミカルに並ぶ
ミャオ族の刺繍展
不思議な模様の美しさに
引き込まれていく

糸が呼吸しているわ
と思った瞬間
刺繍糸のあいだから
蝶がこぼれ
展示ケースを抜け出して
中空を舞い始めた

たくさんの蝶が
無数の精霊を連れて
いっせいに乱舞している
光る鱗粉に触れるたび
懐かしい場所に帰っていく

ミャオ族の最初の人は
蝶の卵から生まれたという

私は一匹お蝶になり
大気の中できらめいている
光源を探しながら
風のすきまに滑り込む

ミャオ族の女は調の魂を宿し
宇宙に張り巡らされた糸を
たぐり寄せながら
伝えたい気持ちを
一針一針にこめて刺していく

伝えたい思い
あなたに届いていますか