2020年2月5日水曜日

春だもん

       「春だもん」

まだ何の花も
咲いていないのに
どこからともなく
いい香りがして
吸い込んだら
わたし
花になる

つめたい風うけ
空の遠くを
みつめていたら
いっしゅんだけど
きらめく光
ぼくら
みつけたよ

心の奧から
何かが湧いて
ふわふわするよ
どこまでいけるか
ためしてみたい
みんな
春だもん




2020年1月10日金曜日

サクランボの妖精さん

「サクランボの妖精さん」

 マユコの家の庭のすみっこには、一本のサ
クランボの木があって、春になったら白っぽ
い花が咲きます土塀からのぞいる花を見て、通
りかかった人々は、「あれは、梅の花かなあ
?」とか「桜じゃないの?」などと言ってい
る。梅と桜の間ぐらいの時期に咲くので、紛
らわしみたいです。暖かい地方のサクランボなの
で、粒が小さくて、それほど甘くもないのだ
けど、五月になったら、真っ赤なサクランボ
がいっぱい実り、太陽を浴びて、キラキラと
輝き始めます。マユコはサクランボの実を見て
いると幸せな気持ちになるのでした。
 学校帰りの小学生たちも、ランドセルを背
負ったままったまま。「サクランボを見せて
くださーい」と言いながら,マユコの家の庭に
どんどんやってきます。ランドセルをテラスに
ポーンと置いて、ハシゴを登って、サクラン
ボの実を採ったり、土塀の上によじのぼって
サクランボの木に近づいたり・・・。「うわ
ーい、きれいだね」「すごくおいしいね」
サクランボの実る季節には、毎日のように、
子供たちの歓声で、小さい庭がいっぱいにな
ります。中学生のマユコも一緒になってはし
ゃいでしまいます。

  ある夜のこと。マユコが宿題を終えて、窓
の方をふと見ると、カーテンのすきまが,ボ
ーッと明るいことに気が付いたのです。
「あれっ いったい何だろう?」マユコはそ
っと窓に近づいて、少しだけカーテンを開け
てみました。「ちょうどサクランボの木のあ
たりが光っているようだわ」マユコはちょっ
と怖かったのですが、その不思議な光を見て
いるうちに、何だかあたたかな気持ちになっ
てきたのです。しばらく、その光をみつめて
いると、光がこちらにやってくるような気が
したので、驚きました。「ああーどうしまし
ましょう」
 光が強くなって、、ゆっくりと回り始め、
その真ん中には、とても小さな女の子が立っ
ていたのです。まっ赤なドレスを着た、お姫
さまのように見えました。その小さい姫さま
が、何茂も手招きするので、マユコは急いで
で窓を開けました。そのとたんにピョンと飛
んで来た女の子は。小鳥のような声で「
こんばんは」と言いました。キラキラ光って
いる小さくてまあるい顔が、サクランボそっ
くりだったので 「もしかしたら、サクラン
ボのお姫さまですか?」と尋ねると こっく
りとうなずいてくれました。

 一本のサクランボの木ごとに宿っていると
というサクランボの妖精、伝説のサクランボ
姫に出会えたなんて、マユコは、うれしくて
たまりません。
 でも、サクランボ姫は、すこし困ったよ
うな表情で、「あのー すみません いつも
私といっしょに居た双子の妹が、夕暮れから
いなくなってしまって、みつからないのです
けど・・」と言ったのです。今日は、サクラ
ンボのまわりに子供たちがたくさん来ていて
はねまわっていましたから・・。「もしかし
たら」とマユコは思いました。「ちょっと待
っててね」とサクランボ姫に言って、部屋の
中をぐるっと見わたしてから、すみっこまで
探してみました。
 すると、マユコのベッドの下で小さく光っ
ているものをみつけたのです。のぞきこみな
がら、「サクランボ姫さまですか?」と声を
かけると、ゆっくりところがりながら、真っ
赤なサクランボが出てきました。
高い所にある小さな窓を、開けたままにして
いたようで、きっとそこからピョンと飛びこ
んだのでしょう。
「ここでねむってしまっていたみたい」姫は
「あーあ」 とあくびしながら立っています。
 探しに来ていたお姉さんは、半分、泣きそ
うになりながら、妹をギュッと抱きしめまし
た。二人が手をつなぐと、光が何倍に広がっ
て、とても眩しかったのです。
 「みつけてくださって、ほんとうにどうも
ありがとうございます。とても。うれしいで
す。お礼に何かプレゼントたいのですが、何
がいいでしょうか?」
マユコは欲しいものは何もなかったのですが
昨日、友だちのミキとけんかしたことを思い
出しましたので、「仲直りできるおまじない
を教えてくれませんか」と頼みました
 サクランボの双子の姫君は、ふたりそ声を
そろえて「サクラクラクラウランボ―アナタ
トナカヨクナリタイノデス」と教えてくれま
した。「笑顔で言ってくださいね」と言い終
わるとすぐに、光が窓から出て。スーと高く
飛んで行きました。サクランボの木の上で、
二つの光が踊っています。

 マユコは、次の日、学校に行ってミキに
会った時、すぐに、昨日、教えてもらった
おまじないを言ってみました 
「サクラサクサク・・・・・あれっ? 何
だっけ?」サクランボの姫さまたちの可愛
い顔と声を思う出して、もう一度、「サク
ラサクサクサクランボアナタトナカヨクナ
カヨクナリタイノデス」ニコニコ笑顔で言
いました。ミキもニコッと笑って。すぐに
仲直りできました。
サクランボ絵に出会ったことは、ないしょで


マユコの家の庭のすみっこには、一本のサク
ランボの木があって、木のてっぺんには、可
愛い双子の姉妹が居るなんて、わくわくする
ほどうれしい気分になります







 



 


2019年11月9日土曜日

公園の夕暮れ

        「風の滑り台」


風の階段をみつけて
一段一段のぼっていくと
ふいに高い台に立っていた
見渡すと木々の枝が空に溶け込みそうに
すがれていて

足元がしんしんするわ

小さく息を吐いたら
スカートのすそを
気にしながら
向こう側に
いっきに滑り降りてみる
落下する快感

いつも何かを探している
思いを振りほどきながら
ただ下降していく

地面に足が着いたら
すぐに立ち上がり
もう一度、階段をのぼる
風のすべり台はエンドレス

秘儀のように黙ったま
何度も何度も繰り返すと
あたりは、急に薄暗くなって
さっきまで遊んでいた
子供たちが誰もいない
風の音が聞こえるさけ

私も もう帰ろうかな
歩き出して振り向くと
古い樹木と錆びた金属の匂い


大きな軌道を
描き続けるブランコ
バランスを保ったまま
中空を滑っているシーシー

星明かりだけの
公園の遊具たちは
地上から少し浮かんで
ゆっくりと回り始めた
















2019年10月18日金曜日

いつもとなりに

「いつもとなりに」

星と星をつないで作る
星座の世界
夜空にお絵かき
しているみたい

描いてるうちに
楽しくなるよ


星のひかりを
見つけるたびに
こころの中にも
明かりが灯る


オリオン座の
ペテルギウス
こいぬ座の
プロキオン
おおいぬ座の
シリウス

三つつなぐと
冬の大三角形

ふたご座の
カストルとポルックスは
いつもとなりに



2019年10月2日水曜日

りんごのウサギ

     「りんごのウサギ」

ママが作った
りんごのウサギ
まっ赤なお耳が
ピーンとながい

おさらの上に
ならんだウサギ
キラキラお目めで
わたしを見てる

りんごのウサギ
ウサギのりんご
かわいいかたち
美味しい匂い

さあ、食べよう
手を伸ばしたら
ウサギはピョンと
窓から飛んで

りんごのウサギは
ピョンピョンはねて
雪ののはらを
走っていくよ



2019年6月20日木曜日

浜辺

    浜辺

まだ海が見えないのに
潮の匂いがする
狭い路地をすり抜けると
急に視界が広がって
私は浜辺に立っていた

がらんどうのような空と
満ちている海
空と海はどこまで行っても
交わらないまま対面し続け
たくさんの時を飲みこんでいる

浜辺には未来から来たのか
過去から蘇ったのかわからない
大きな謎の物体が立ち
何百本もの細い骨格と
白い帆を持つ
海辺の生き物が
やわらかい砂の上で
何かを待っていた

「風が来たよ」
風が吹き始めると
空と海をいっしょに連れて
ストランドビーストは静かに動き出す
パイプの一本一本が
細胞になって呼吸し
浜辺を歩き始める
海面上昇していないか
見極めるため
風を食べて動き続ける
新しい生命体

テオ・ヤンセンの作品
ストランドビーストが
今。私の目の前を動いている
芸術と科学がつながって
海と空を波立たせながら
どこに向かっていくのだろう


私も新しい風を受けて
歩き始める
いつも海から始まる





2019年6月11日火曜日

雨ガッパのうた

       「雨ガッパのうた」

雨の日には
カッパになるの
雨つぶいっぱい
あびながら
びしょぬれの道
あるいてく

私はきいろ
あの子はみどり
いろとりどりの
カッパのなかま
カッパの声で
笑いあう

雨がふったら
お花もえがお
おいしい水を
のみながら
カッパのパレード
見てるから