「空と雲の絶妙なバランス」
うすぐもりの空を見ていると
ねむくなってくる
グレーの空気のかたまりが
とろんと覆いかぶさってきた
現実のジグザグ模様や
こんがらがった渦巻きも
ぼんやりなだらかになる
閉じ忘れた心の窓から
雲のはしが入り込んで
心の中と外が
つながっていく
空が雲を抱きしめるたび
雲がどんどんふくらんで
雲はずっしり重くなる
雲の輪郭は心の形のように
どこまでもとりとめがない
今にも雨が降り出しそうな
今にも晴れ渡りそうな
どちらにもならない
空と雲の絶妙なバランス
ねぇ 目をさまして
自分で雲を突き抜けてみようか
ふーとゆっくり吐き出して
わきあがる青空を吸い込み
こぼれかけた雨を飲みこんで
つるっとした風の背中
すべすべの水の足音
すらりとした土の頬
がさがさの樹木の肩
さくさくした屋根の額
ふっくらした花の手のひら
ひとつひとつのものたちに
手で直に触れてみる
触れた瞬間,体に響く
あの不思議な実感
とがった形はとがったままに
まるい形はまるいままに
すべてのものを素手でつかみたい
芽を開けて見続ける夢の途上で
2018年4月12日木曜日
2018年4月6日金曜日
今
「今」
未来に引っ張られている時は
過去からも引っ張られている
キーンと張り詰めた見えない糸は
どこまでも伸びて
私はちょうど真ん中あたりで
綱渡りしている
一歩踏み出すたびに
全身が大きく傾いて
世界中が揺れる
踏み外しても
青空に落下するだけだ
耳もとで風がごうっと鳴って
すべての音が消されていく
脈拍の波が押し寄せてくる
何もかもが不安になると
肩先が妙に寒いね
太陽を浴びた草の匂い
近くを見ることが怖くて
遠くばかり見ていたら
糸の細さが気にならなくなった
芽をつむるともっと遠くが見える
昼間なのに暗い空間
もう夜なのかもしれない
ふと立ち止まったら
光の束がいっせいに
私に向かって飛びこんできた
たくさんの色彩が重なり合って
私の中を白い光が
駆け抜ける
果てしなく遠い場所で
透明な水が湧き
白い滝になって落ち続け
月の光に照らされている
ほんのわずかな確率で
今、虹が出ている
未来に引っ張られている時は
過去からも引っ張られている
キーンと張り詰めた見えない糸は
どこまでも伸びて
私はちょうど真ん中あたりで
綱渡りしている
一歩踏み出すたびに
全身が大きく傾いて
世界中が揺れる
踏み外しても
青空に落下するだけだ
耳もとで風がごうっと鳴って
すべての音が消されていく
脈拍の波が押し寄せてくる
何もかもが不安になると
肩先が妙に寒いね
太陽を浴びた草の匂い
近くを見ることが怖くて
遠くばかり見ていたら
糸の細さが気にならなくなった
芽をつむるともっと遠くが見える
昼間なのに暗い空間
もう夜なのかもしれない
ふと立ち止まったら
光の束がいっせいに
私に向かって飛びこんできた
たくさんの色彩が重なり合って
私の中を白い光が
駆け抜ける
果てしなく遠い場所で
透明な水が湧き
白い滝になって落ち続け
月の光に照らされている
ほんのわずかな確率で
今、虹が出ている
2018年4月5日木曜日
呼吸する風景
「気球する風景」
世界のどこかで
艶のある闇色のタマゴから
ふわっと飛び出す朝の色
生まれたての光は
眩しいエネルギーの源
膨大な量に増殖して
何億もの窓に
押し寄せてくるから
ガラス窓は膨張して
大きくしなり
部屋の中まで風景が
なだれこんでくる
私は静かに受け止めて
ゆっくりと元の場所にもどす
山の位置 空の位置 自分の位置
カチッとはまった時
無音だった風景が
新しい今日の音楽を
奏で始める
まっすぐに伸びる視線
遮るものが何もない空間
効いたことのない旋律が
響き渡り
体内にこだまする
今日はどこまで行けるだろう
目的地を決めない旅人のように
いつもどこかに向かっている
出来る限り遠くまで行って
風景の呼吸を感じながら
まだだれも見たことのないものと
出会いたい
図ることのできない距離と時間
余白が多いほど可能性が大きい
弾きたてのコーヒーに
熱い湯を注ぐと
ふくらんでくる褐色の大地
コーヒーの香りで
外と内の境界がとけていく
世界のこの場所から
朝が始まる
世界のどこかで
艶のある闇色のタマゴから
ふわっと飛び出す朝の色
生まれたての光は
眩しいエネルギーの源
膨大な量に増殖して
何億もの窓に
押し寄せてくるから
ガラス窓は膨張して
大きくしなり
部屋の中まで風景が
なだれこんでくる
私は静かに受け止めて
ゆっくりと元の場所にもどす
山の位置 空の位置 自分の位置
カチッとはまった時
無音だった風景が
新しい今日の音楽を
奏で始める
まっすぐに伸びる視線
遮るものが何もない空間
効いたことのない旋律が
響き渡り
体内にこだまする
今日はどこまで行けるだろう
目的地を決めない旅人のように
いつもどこかに向かっている
出来る限り遠くまで行って
風景の呼吸を感じながら
まだだれも見たことのないものと
出会いたい
図ることのできない距離と時間
余白が多いほど可能性が大きい
弾きたてのコーヒーに
熱い湯を注ぐと
ふくらんでくる褐色の大地
コーヒーの香りで
外と内の境界がとけていく
世界のこの場所から
朝が始まる
風
「風」
私は風の中にいます
風が私を包囲しています
春先の唐突な強風に
家ごとあおられながら
私は風をみつめていた
木の枝が小刻みに揺れ
明るいグレーの空に
突き刺さったり離れたり
抽象画のの線のように
風の動きを描き出す
とめどなく変化し続ける
風の形 形の風
風が強く吹きつけるたびに
何かがこわれる音がする
屋根がめくれあがろうとして
窓枠が震え始める
世界のどこかが軋んでいる
妄想が大きくふくらんで
得体の知れない
原初の不安感に包まれる
風は何かを伝えたいのだろう
叫びながら訴えてくる
つぶやくように語りかける
風の音 音の風
私は急いで詩の言葉を
書きとめようとしたが
風に吹きと飛ばされてしまい
風の言葉だけが残り
私は風の決勝を拾い集める
たくさんの風の音とかたち
通り過ぎて行くと
雲も一緒に飛ばされて
奇跡のように透明な景色
まっ青な空が見えてくる
風の魂 魂の風
私は風の中にいます
風は私の中にあります
私は風の中にいます
風が私を包囲しています
春先の唐突な強風に
家ごとあおられながら
私は風をみつめていた
木の枝が小刻みに揺れ
明るいグレーの空に
突き刺さったり離れたり
抽象画のの線のように
風の動きを描き出す
とめどなく変化し続ける
風の形 形の風
風が強く吹きつけるたびに
何かがこわれる音がする
屋根がめくれあがろうとして
窓枠が震え始める
世界のどこかが軋んでいる
妄想が大きくふくらんで
得体の知れない
原初の不安感に包まれる
風は何かを伝えたいのだろう
叫びながら訴えてくる
つぶやくように語りかける
風の音 音の風
私は急いで詩の言葉を
書きとめようとしたが
風に吹きと飛ばされてしまい
風の言葉だけが残り
私は風の決勝を拾い集める
たくさんの風の音とかたち
通り過ぎて行くと
雲も一緒に飛ばされて
奇跡のように透明な景色
まっ青な空が見えてくる
風の魂 魂の風
私は風の中にいます
風は私の中にあります
2018年4月4日水曜日
植物図鑑
「植物図鑑」
輪郭のない風に乗って
冬の精が踊りながら
窓ガラスにぶつかってくる
風のかたちが見えてくるたびに
心をノックされている気がして
(’私はどこからか逃れてきたようだ)
あたたかい部屋の中
ソファーに深く沈みこむと
分厚い植物図鑑を開く
印刷の匂いが広がって
つややかな緑の世界
図鑑の中でひしめきあっていた
鉱山の花たちが飛び出してくる
薄紅色にうつむいていたコイワカガミ
ささやきかける紫色のイワギキョウ
透明な秘密の言葉が隠れている
(花を見ながら、一瞬、見つめ合っていた)
花びらがくるくるつ回るチングルマ
白く優しいハクサンチドリ
ミヤマキンポウゲが明るく灯る
岩と岩の間を一歩ずつ
息を切らせながら登っていく
神様が創ったロックガーデン
(誰かの足跡に、私の靴を乗せて)
山がたくさんの足跡を受け取ると
空が近づいてくる
銀河まで繋がっている予感
地上から1000メートル越えると
花の精がきらめきながら飛びまわり
花は光そのものになる
タテヤマリンドウ‐ キヌガサソウ
ワタスゲ・クルマユリ・・・・
呪文のように呟くと
夏山の気があふれてくる
花の時間 山の時間 人の時間
しゅるるとからまりあって
いっきに生命の源をたどる
自分が植物だった頃の記憶が
ふと蘇ってくる瞬間
懐かしさがこみあげて
私は植物図鑑のページの中に
するっと吸い込まれてしまった
(誰かが開いてくれるまで、ここで待っていよう)
窓の外はキーンと凍った冬の色
風の音と姿はもう消えて
月明かりだけが散らばって
花びらのように見える夜
輪郭のない風に乗って
冬の精が踊りながら
窓ガラスにぶつかってくる
風のかたちが見えてくるたびに
心をノックされている気がして
(’私はどこからか逃れてきたようだ)
あたたかい部屋の中
ソファーに深く沈みこむと
分厚い植物図鑑を開く
印刷の匂いが広がって
つややかな緑の世界
図鑑の中でひしめきあっていた
鉱山の花たちが飛び出してくる
薄紅色にうつむいていたコイワカガミ
ささやきかける紫色のイワギキョウ
透明な秘密の言葉が隠れている
(花を見ながら、一瞬、見つめ合っていた)
花びらがくるくるつ回るチングルマ
白く優しいハクサンチドリ
ミヤマキンポウゲが明るく灯る
岩と岩の間を一歩ずつ
息を切らせながら登っていく
神様が創ったロックガーデン
(誰かの足跡に、私の靴を乗せて)
山がたくさんの足跡を受け取ると
空が近づいてくる
銀河まで繋がっている予感
地上から1000メートル越えると
花の精がきらめきながら飛びまわり
花は光そのものになる
タテヤマリンドウ‐ キヌガサソウ
ワタスゲ・クルマユリ・・・・
呪文のように呟くと
夏山の気があふれてくる
花の時間 山の時間 人の時間
しゅるるとからまりあって
いっきに生命の源をたどる
自分が植物だった頃の記憶が
ふと蘇ってくる瞬間
懐かしさがこみあげて
私は植物図鑑のページの中に
するっと吸い込まれてしまった
(誰かが開いてくれるまで、ここで待っていよう)
窓の外はキーンと凍った冬の色
風の音と姿はもう消えて
月明かりだけが散らばって
花びらのように見える夜
2018年2月16日金曜日
(新しい本)森
「森」
つきささる時の影に
森がざわめき始めた
わずかな光を誘い出そうと
強い風が吹き荒れる
木々の枝は大きくうねり
小刻みにふるえる葉先が
私の空を切り裂いていく
ちぎれかけた葉っぱから
植物の匂いがほとばしり
森全体に立ち込める頃
地鳴りのような音が聞こえてくる
動き出すことが怖くて
うずくまっていた私の
脳髄に分け入ってくる
森の呼吸音
(こんな遠くまで、響くなんて)
私は激しく揺さぶられて
駆け出して行った
ブリキ製の星座版だけ持って
戸を開けて外に出ると
そこは天球の内側だった
雲は風に追われて
晴れ渡る闇のドームのなか
北斗七星からたどって
北極星を探す
森と私の位置
青い樹木の幹が
迷路になって続く
まがりくねった森の道は
登っているのか下っているのかわからない
とがった草を踏んで
心の流れのままに
ひと晩中駆けめぐると
素足に一筋の血がにじむ
(時の影が 抜け出している)
風といっしょに流れ星を
飲みこんでしまったらしい
私の中で星がまたたく
朝までにたどり着けなくてもいい
森のざわめきの方向に
今を走り続ける
つきささる時の影に
森がざわめき始めた
わずかな光を誘い出そうと
強い風が吹き荒れる
木々の枝は大きくうねり
小刻みにふるえる葉先が
私の空を切り裂いていく
ちぎれかけた葉っぱから
植物の匂いがほとばしり
森全体に立ち込める頃
地鳴りのような音が聞こえてくる
動き出すことが怖くて
うずくまっていた私の
脳髄に分け入ってくる
森の呼吸音
(こんな遠くまで、響くなんて)
私は激しく揺さぶられて
駆け出して行った
ブリキ製の星座版だけ持って
戸を開けて外に出ると
そこは天球の内側だった
雲は風に追われて
晴れ渡る闇のドームのなか
北斗七星からたどって
北極星を探す
森と私の位置
青い樹木の幹が
迷路になって続く
まがりくねった森の道は
登っているのか下っているのかわからない
とがった草を踏んで
心の流れのままに
ひと晩中駆けめぐると
素足に一筋の血がにじむ
(時の影が 抜け出している)
風といっしょに流れ星を
飲みこんでしまったらしい
私の中で星がまたたく
朝までにたどり着けなくてもいい
森のざわめきの方向に
今を走り続ける
2018年2月15日木曜日
ひなまつり
「ひなまつり」
山いちめんに
桃の花が抱いて
青空にくるまれている
桃色の花あかり
内側から光を発し
花びらと空の境界線が溶けて
空いっぱいに広がった
見上げていると
どこかに紛れ込んでしまいそうだ
垂直に立っている
からかみを開けると
昼でもほの暗い座敷真の
片隅で小さなひなまつり
緋毛氈の階段に
おひなさまが並べられ
華やいでいる
未知の白と期待の赤が
混ざりあって生まれた
桃色の空間
人評たちは黙ったまま
時間を吸い込んでいる
障子を開けると
庭に集まっていた日光が
部屋に流れ込んでくる
畳の上に眩しい光の線が引かれ
光と影の境目を
わたしは行ったり来たり
もうすぐ五人囃子の音楽が始まるよ
三人官女が何か大切な物を
運んでくる
おひなさまとお内裏さまをは
これからどこへ行くの
見えない物語の続きが気にかかる
いつも何かが始まる直前
閉じ込めた時間が
あふれそうで
みんな桃の花色に染まるから
垂直に立っている
あのからかみを
そっと開けてみる
山いちめんに
桃の花が抱いて
青空にくるまれている
桃色の花あかり
内側から光を発し
花びらと空の境界線が溶けて
空いっぱいに広がった
見上げていると
どこかに紛れ込んでしまいそうだ
垂直に立っている
からかみを開けると
昼でもほの暗い座敷真の
片隅で小さなひなまつり
緋毛氈の階段に
おひなさまが並べられ
華やいでいる
未知の白と期待の赤が
混ざりあって生まれた
桃色の空間
人評たちは黙ったまま
時間を吸い込んでいる
障子を開けると
庭に集まっていた日光が
部屋に流れ込んでくる
畳の上に眩しい光の線が引かれ
光と影の境目を
わたしは行ったり来たり
もうすぐ五人囃子の音楽が始まるよ
三人官女が何か大切な物を
運んでくる
おひなさまとお内裏さまをは
これからどこへ行くの
見えない物語の続きが気にかかる
いつも何かが始まる直前
閉じ込めた時間が
あふれそうで
みんな桃の花色に染まるから
垂直に立っている
あのからかみを
そっと開けてみる
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