「バルーンアートのうた」
黄色いふうせん
ふくらませては
キュッ キュッと
まわす ひねる
オレンジふうせん
たてがみにして
あっというまに
ライオンできた
はじけるように
わらいながら
ゆったりふわり
ゆれている
空気で作った
バルーンアート
キュル キュルと
ひねる つなぐ
みんなのきもち
つめこみながら
こんどは なにが
できるかな
「バルーンアートのうた」
黄色いふうせん
ふくらませては
キュッ キュッと
まわす ひねる
オレンジふうせん
たてがみにして
あっというまに
ライオンできた
はじけるように
わらいながら
ゆったりふわり
ゆれている
空気で作った
バルーンアート
キュル キュルと
ひねる つなぐ
みんなのきもち
つめこみながら
こんどは なにが
できるかな
アオスジアゲハの翅のように
「暗闇をくぐりぬけて
やっとここまで来たの」
光と出会ったばかりの
アオスジアゲハは
まぶしそうに遠くを見る
空が恋しいから
異国の空色を身にまとい
小声でうたうように
マーガレットやマリーゴールドの
まわりを飛んでいる
翅を動かすたびに
空気が波になっていく
闇の色を翅に残したまま
触覚をふるわせて花にとまる
祈りの姿で蜜を吸う
吸いこむたびに
小さい体が透きとおり
あたりの風景も
少しずつ透明になっていく
「川の音が聞こえるわ」
意識の川はどこから来て
どこへ流れていくのだろう
川面がふつふつ揺れて
定まらない具には
いくつかの風の門を
くぐり抜けて
意識のまん中に
飛び込んでみる
深く深く潜りながら
水をかき分けると
意識の川はいつしか
実在の川とつながってくる
川のほとりを古い自転車で走ると
意識と無意識の交わるところに
アオスジアゲハが
きらめきながら舞っている
こちらに向かって飛んできて
私にとまる
「やっと会えたね」
「平原を走る」
私は平原を走っていた
風を破って進みたび
草野匂いが立ち上る
一秒ごとに新しい球体に
吸いこまれていく
体だけではなく
風景もいっしょに
引っ張られていく
息を切らして走っていた
走っても走っても
たどりつけない
もう限界かもしれない
心の音が言葉になって
浮かんできた瞬間
張りつめていた思いが
急にほぐれていった
空からまっ白い妖精が
小さい体をくゆらせながら
降りてくる
ささやき合いながら
歌ったりとまどったり
湧きたつように
大地に深く填め込まれていた
山がうねるように動き出した
揺さぶられたあらゆるものが
つややかな結晶体になる
無限と限界のあいだを
行ったり来たりしながら
人は生きている
限界の向こう側には
果てしない無限の
領域があって
私は宇宙の底の平原を
どこまでも走る
今、スノードームを揺らしているのは
誰ですか