2023年9月29日金曜日

バルーンアートのうた

        「バルーンアートのうた」


 黄色いふうせん

 ふくらませては

キュッ キュッと

まわす ひねる

オレンジふうせん

たてがみにして


あっというまに

ライオンできた

はじけるように

わらいながら

ゆったりふわり

ゆれている


空気で作った

バルーンアート

キュル キュルと

ひねる つなぐ

みんなのきもち

つめこみながら


こんどは なにが

できるかな



2023年8月7日月曜日

アオスジアゲハの翅のように

 

アオスジアゲハの翅のように

 

「暗闇をくぐりぬけて

やっとここまで来たの」

光と出会ったばかりの

アオスジアゲハは

まぶしそうに遠くを見る

 

空が恋しいから

異国の空色を身にまとい

小声でうたうように

マーガレットやマリーゴールドの

まわりを飛んでいる

翅を動かすたびに

空気が波になっていく

 

闇の色を翅に残したまま

触覚をふるわせて花にとまる

祈りの姿で蜜を吸う

吸いこむたびに

小さい体が透きとおり

あたりの風景も

少しずつ透明になっていく

 

「川の音が聞こえるわ」

意識の川はどこから来て

どこへ流れていくのだろう

川面がふつふつ揺れて

定まらない具には

 

いくつかの風の門を

くぐり抜けて

意識のまん中に

飛び込んでみる

深く深く潜りながら

水をかき分けると

意識の川はいつしか

実在の川とつながってくる

 

川のほとりを古い自転車で走ると

意識と無意識の交わるところに

アオスジアゲハが

きらめきながら舞っている


こちらに向かって飛んできて

私にとまる

「やっと会えたね」

 

2023年6月7日水曜日

スイカ

      「スイカ」


おとうさんが

両手でかかえて

持って帰った

大きなスイカだ

みどりの大地

黒いイナズマ


おかあさんが

包丁をあてると

ビシッ音がして   

スイカがはじけた

夏のまぶしさ

ぜんぶ入ってる


わたしたちは

わくわくしながら

笑いあいながら

スイカのまわりに

あつまって見つめてた

夏のかおりを浴びながら

2023年2月8日水曜日

さくらさく

       「さくらさく」


さあさあさくら

まちどおしいな

みんなでみてる

もうすぐさくよ

いまにもさくさ


さくさくさくら

ほんとにさいた

はなびらきらり

みんなのきもち

あかるくなった


さこさこさくら

つぎからつぎに

どんどんさくよ

そらいっぱいに

さくらがひらく


さらさらさくら

かぜがふいたら

ひかりになって

そらでかけっこ

みなもにゆれる




2023年1月15日日曜日

ネコは春

      「ネコは春」


奥村忠一さん、作曲してくださって

どうもありがとうございます

絵を描いてくださった方

歌を歌ってくださった方

皆さんどうもありがとう

童謡『ネコは春』 - YouTube

2023年1月14日土曜日

2023年1月4日水曜日

平原を走る

         「平原を走る」

私は平原を走っていた

風を破って進みたび

草野匂いが立ち上る

一秒ごとに新しい球体に

吸いこまれていく


体だけではなく

風景もいっしょに

引っ張られていく


息を切らして走っていた

走っても走っても

たどりつけない


もう限界かもしれない

心の音が言葉になって

浮かんできた瞬間

張りつめていた思いが

急にほぐれていった


空からまっ白い妖精が

小さい体をくゆらせながら

降りてくる

ささやき合いながら

歌ったりとまどったり

湧きたつように


大地に深く填め込まれていた

山がうねるように動き出した

揺さぶられたあらゆるものが

つややかな結晶体になる


無限と限界のあいだを

行ったり来たりしながら

人は生きている


限界の向こう側には

果てしない無限の

領域があって


私は宇宙の底の平原を

どこまでも走る


今、スノードームを揺らしているのは

誰ですか