2022年7月19日火曜日

       「海」


まだ朝日が

のぼりきらない

うすあかりの中

海に導かれるように

波打ちぎわを歩く


海がめくれて

いちまいの水

くるるらりん

はりるくりる

何枚も何枚も

打ち寄せてくる


私の素足の足首あたりで

受け取りながら

残り雲を見上げては

ただまっすぐ歩く


くるるらりん

はりるくりる

いつも何かの境目を

行ったり来たり

繰り返している


飛び散るひかり

ぴるる 水しぶき

空につきささり


海と空 陸と海

まざりあって

海に連れられて

向こう側まで

行ってしまいそうになる


空から降って来るもの

海から湧き上がるもの

すべてを全身で

浴びていると



体のなかを

海が通り過ぎていく


たぶん あの人のことが

好きだから  一歩ずつ

明け方の海辺を

どこまでも歩く