2016年2月6日土曜日

冬の空いろ

        「冬の空いろ」

とろけそうな冬の空
淡い青がるうるうと広がって
大気圏の彼方まで
透けて見わたせるほど
すきとおっている

銀河の向こうから
飛来した光のひとひらが
神々しい雲になって
ぽうっと漂っている

今にもこぼれそうな心を
どんどん掬い取って
膨らんだりちぎれたりしながら
濾過しているのか
光の粉が降っている

春の花の香りを内包して
もうすぐ弾けそうだ

木の枝先がするすると伸びて
雲をつかまえようとするけれど
雲は自在に姿を変えて
するりとくぐりぬけていく

たとえ昨日と明日が
心細い日であったとしても
今日、この瞬間だけは
時間や質量の法則から
解き放たれている

この冬の空のどこかに
不思議な通路があって
いろいろな意識を吸い込んだり
吐き出しているらしい

伸びやかに広がる
ペールブルーの冬の空
見つめているだけで
どんな窮地も脱出できる
どんなの問題も
すり抜けられる気がする

心の静寂が極まって
空の呼吸の音さえ
聞こえてくるよ





2016年2月5日金曜日

つぼみは春の光の子ども

  「つぼみ」

サクラもモモも
モクレンも
今はみんなつぼみです
ちいさくとがった
ひかりの子ども
ねむっているの
いいえ これから飛び出す
準備中

つぼみの中は
あたたかく
ほんの少し広がって
お日さま見えたら
はじけるの
こわくはないの
いいえ 新しい世界
わくわくしてる

サクラもモモも
モクレンも
今はみんなひかりです
つぼみのまわり
ひかりであふれ
まぶしくなった
つぼみは春の
ひかりの子ども