2015年3月25日水曜日

2015年3月21日土曜日

飛ぶ

        「飛ぶ」

夥しい数の蝶が
空を覆っていた
しなやかに羽をひらめかせ
飛んでいるのか
舞っているのか
風の形を描きだす
どこに向かっているのだろう

すきとおった青空を
吸い込みながら
空を渡っていたら
わたしの羽
空の色が浸みてきたわ
太陽と大地の色の
縁取りのなか
浅葱色に染まる

アサギマダラは
鮮やかな模様の羽を広げ
2000キロを超える旅をする

なぜ遠くまで飛ぶのか
わからないわ
体の中から湧き起こる
衝動のままに
今という時を飛ぶ
一瞬ごとに新しくなる空を
ずっと見ていたい

何かが呼んでいる気がする

キジョランの葉を食べて
育った頃の記憶を乗せて
ヒヨドリバナやフジバカマの
蜜の方向に向かっていく

疲れたら波に止まって
ねむるの
暗い波間に浮かんでいると
ファンタジックな星空が見えた
少し休んだら
また飛びたつわ

仲間と交信しながら
空気と踊る
羽を静かに動かせるたび
くるくると時空が変化する

アサギマダラの群舞のように
わたしたちも飛び続ける
心の中で無数の蝶が
飛翔しているから

2015年3月4日水曜日

コスモス

      「コスモス」

秋の日ざしが
きらめいている大地から
すっくと立ちのぼり
しなやかに青空を泳ぐ
コスモスの花が
どこまでも続く道で
キミと出会った

ひろい宇宙のなか
やさしい光の引力で
ふたりは出会った

キミと手をつないで
歩く道
笑っているコスモス
語っているコスモス
ときめいているコスモス

キミとボクとコスモスと
はるかなものが
みんなつながって
ひとつになると
るり色の天が
秋のすべてを包み込む


◎秋の号のために