2011年10月7日金曜日

●(新しい本)夢の迷路~♪

      「夢の迷路」

あけがたの夢の中で
道に迷ってしまった
帰りたいのに帰れない
いつもの道を通っていたのに
知らない町に立っている

今度のバスに乗ろうと
時刻表を見つめても
バスはなかなかやってこない
やっと来たと思ったら
行き先がちがっていた

見なれた階段を
かけのぼっていくと
コンクリートの長い廊下
どの部屋をのぞいてみても
私の入る教室がみつからない
私は何組だったのか

夢の道ばたで途方にくれる
今、目を覚ませば
私はここにいて
無事にたどりつけると
わかっているのに
夢の中にもどって
何かをさがし続ける

人は時間のかたすみに
いくつもの忘れ物を
置いてきているらしい
無意識の中でさがしている

完結できないまま
流れていくのが現実だから
とまどうことを
楽しんでいるようだ

ひまわり畑の迷路で
遊んでいるうちに
ほんとうに迷子になった
あの日の感覚に似て
不安だけど心が弾む
見あげると、まっ青な空に
大きな光の花びら

記憶だけでつながっている
果てしない道を今日も歩く